本格的な登山シーズンを迎えた富士山。山開き早々、死者が相次ぐ異常事態となっています。(7月13日OA「サタデーステーション」)

■開山から2日間で3人死亡

10日、富士山の静岡側で山開きを迎え、本格的な登山シーズンがスタート。去年は7月から9月までの2カ月間で登山客が2人亡くなっていますが、今年は、開山から2日間で3人が亡くなっています。静岡県警がSNSに投稿した動画では…

救助隊員 「(強風で)進まない…。これ、みんなで固まっていこう」

強風が吹き荒れ、山に慣れているはずの山岳救助隊の男性がしゃがみ、前に進めないほど危険な登山。一方の山梨側でも、今月1日に山開きをしてから中国籍の男性が1人亡くなっています。

13日も、未明に富士宮ルート8合目付近で登山中の50代男性が体調不良を訴え、警察に通報。救助されています。

■目立つ軽装登山者

サタデーステーションは静岡側の登山口の1つ「富士宮ルート」に向かいました。3つある登山口の中で最も距離が短いルートで、勾配が厳しく難易度もかなり高いのが特徴です。

報告・富樫知之ディレクター 「午前6時すぎです。富士宮口5合目に向かうバスには長蛇の列ができています」

登山客の中で特に目立っていたのは、軽装で来る登山客です。6合目で山小屋を営む渡辺さんは…

富士宮ルート6合目「雲海荘」渡辺尚俊さん 「その格好では上まで無理だから、他の皆さんのようにちゃんとした格好じゃないと、危ないから無理していかないように忠告した」

■定点カメラで検証すると…

サタデーステーションは富士宮ルート6合目の山小屋に定点カメラを設置。軽装で来る登山客がどれだけいるのか検証してみました。午後1時前、画面の左奥から現れたのは軽装姿のアメリカ人カップル。男性はTシャツ姿にジーパン、足元はスニーカーです。女性は肩を出したタンクトップ姿。

アメリカからの登山客 「寒くないです。大学時代にボートチームの一員だったから体つくりはできています、自信はあります」

その10分後、今度は画面右から半袖のシャツに短パン、サンダルを履いた3人組の中国人男性もきました。これは、渡辺さんも声をかけにいきます。

富士宮ルート6合目「雲海荘」渡辺尚俊さん 「今日はどこまで行くんですか?天気もすぐ悪くなるから…」

中国からの登山客 「友人と頂上まで行くつもりなのかと相談していたのですが、短パンだから無理ですね」

山岳ガイドの小池さんは、軽装で登山することが、どれだけ危険なのか警鐘を鳴らします。

静岡富士山ガイド協会 小池亦彦さん 「体温奪われて、低体温症になって、結局動けなくなってしまう方がほとんどですね。富士山の山頂と北極の気候は同じ。夏に北極へ行くのと同じなんですね」

■山梨側では弾丸登山“激減”

一方、今年から登山客を1日当たり4000人まで制限し、一人当たり2000円の通行料を徴収している山梨側の吉田ルートでは…

報告・若林奈織ディレクター 「吉田ルート5合目の広場ですが、多くの登山客や観光客で賑わっています」

吉田ルートでも、軽装で山登りに来る外国人登山客の姿が。

ポーランドから来た男性 「私たちは寒い国の出身なので大丈夫です」

取材を続けていると、通行料をめぐるトラブルに遭遇。

係員「(通行料が)必要になるんですよね」 男性「本当に必要なんですか?」

山梨側では、インターネットで登山日を予約した場合、事前に通行料の2000円も決済します。事前に予約をしない当日枠の場合、現地で受付して通行料を支払う必要があります。男性は、事前に予約をしなかったため、当日どこで受付して、通行料を支払えばいいのか分かりにくいと不満を漏らしていました。

注意を受けた男性 「もうちょっと案内があればいいと思う」

山梨側では今月1日から、午後4時から午前3時までの間、ゲートを閉鎖。いわゆる弾丸登山対策の効果が顕著に現れています。今月1日から11日までの11日間で、午後5時から午前3時までに6合目を通過した登山客は、去年の3分の1程度に留まっています。実際、午後5時ごろの5合目では昼間の賑わいから一転して、登山客が少なく閑散としていました。吉田ルート5合目で、山小屋などを営む井出さんは…

富士山みはらし 井出雄貴さん 「(規制によって)富士山全体が良くなったのであれば、私たちもそこは前向きに賛同したいと思います」