防衛省は12日、特定秘密の不適切な運用や海上自衛隊員による潜水手当の不正受給など相次ぐ不祥事を受けて、増田和夫・事務次官や吉田圭秀・統合幕僚長のほか、陸海空の全幕僚長を含む218人を一斉に処分した。200人以上が一斉に処分されるのは極めて異例の事態で、多くの違反があった海上自衛隊トップの酒井良・海上幕僚長は交代する。木原防衛大臣は自身の給与1カ月分を返納する。12日に防衛省が公表した不祥事は、特定秘密の不適切な運用、海自隊員による潜水手当の不正受給、政策立案を担う防衛官僚によるパワーハラスメント、また、海自基地内で隊員が不正飲食を行った問題の4事案となる。

安全保障に関わる「特定秘密」が部隊内で不適切に扱われていたとして、防衛省は、自衛隊のトップである統合幕僚長らを訓戒、停職などで113人を処分した。海上自衛隊の隊員が潜水手当約4300万円を不当に受け取っていた事案については、防衛省は、74人を処分した。酒井海幕長は12日、「個々の順法精神の欠如に加え、不正を見て見ぬふりをするような組織文化に問題がある。長期的な対策を講じないと組織文化は変わらない」と述べた。国民民主の玉木雄一郎代表は12日、「極めて深刻な事態。日米同盟をはじめとした関係各国との信頼にも関わる問題である」と懸念を示した。

海上自衛隊の潜水手当を巡る不正受給では、海自に所属する潜水士の大半が不正に手当を受け取っていた。海自隊員は、任務や訓練で潜水した際に、潜った深さに応じて、深さ450メートルを超える場合で、1時間あたり最大で1万2000円の手当が支給されている。不正受給が多い隊員では、1500時間分で約200万円に上った。この不正受給に関する調査は、2017年から23年までの範囲で実施され、その結果、海自内部で同様の手口で引き継がれた可能性が高く、6年間で65人が総額で約4300万円を受け取っていた。

★ゲスト:佐藤正久(元外務副大臣)、久江雅彦(共同通信特別編集委員) ★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)