東京の築地市場を彷彿(ほうふつ)とさせるこの空間。実は、パリで大人気のラーメン店なんです。愛される理由は、店主の並外れた「こだわり」にありました。
■築地がパリに?人気ラーメン店の“こだわり”
あれからおよそ6年。今はなき、築地市場が豊洲ではない、まさかの場所に。
そう、ここはパリに蘇った“築地市場”で、魚介のうま味がしみ渡るラーメンがパリっ子たちの心をわしづかみにする人気店なんです。
フランス人 「このラーメン大好きですよ。魚のだし、イワシのだしがおいしくて、肉のラーメンの概念を覆すね」
パリ市民 「旅をしているみたいです。ラーメンもとてもおいしかったし、パリで日本の雰囲気に浸れるのはうれしいです」
店のオーナーのムニエさんに話を聞くと…。
KodawariRamenTsukiji ジャンバティスト・ムニエさん 「私の店の売りは旨味への尋常でないこだわりです」
“尋常でないこだわり”を持つと話すムニエさんですが…。
ジャンバティスト・ムニエさん 「店内の装飾品はすべて日本から持ってきました。築地からそのまま持ってきたものもあります」
まさしく“移転”。
築地への“尋常でないこだわり”も明らかに。
■築地がパリに?店内で“音”も再現
注目はパリのラーメン店に響き渡る音です。どこかで聞いたことはありませんか。
実はムニエさん、築地が閉まる直前に自ら場内の音声を録音。店内で流しているんです。
ジャンバティスト・ムニエさん 「私は築地の最後の何日間か、そこにいました。とても悲しい雰囲気でしたね」
築地を再現するため、8000枚もの写真を撮影したそうです。
ジャンバティスト・ムニエさん 「店内には実際に築地で使っていた看板もあれば、ケースや値札はそっくりに複製しました。築地の魚屋たちが処分の時にくれたものの中に複製も混ざっているんですよ」
■ラーメン店主“こだわり”のワケ
そうしてまで築地を残しておきたかったのは、なぜなんでしょうか。
ジャンバティスト・ムニエさん 「人々が毎日働き、生活する場所。私はそこにひかれました。築地市場が閉まると聞いて、パリのようになってほしくないと思ったんです。かつて市場があったパリのレアール地区には、今や何もないんです。そんなふうにすべてを消し去るのではなく、当時をしのばせる何かが残ってほしいと思いました」