自民党は、9月の総裁選挙に向けた選挙管理委員会の初会合を開催し、告示や投開票などの具体的な日程を8月20日の次の会合で決めることにした。自民派閥を巡る政治資金パーティー裏金事件で、国民の自民に対する政治不信が高まり、岸田内閣の支持率が低迷している。時事通信社が8月2日から5日に実施した世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月比で3.9ポイント増の19.4%。3カ月ぶりに上昇に転じた。不支持率は同4.8ポイント減の53.6%となった。

自民所属の国会議員による「政治とカネ」を巡る不祥事が相次いでいる。東京地検特捜部は7月30日、公設秘書の給与を詐取したとして、詐欺容疑で、広瀬めぐみ参院議員(58)の自宅、議員会館など関係先を家宅捜索した。特捜部によると、広瀬議員は2022年12月から23年8月まで、公設第1秘書の妻を第2秘書としたうえで、第2秘書に勤務実態がないにもかかわらず、国から数百万円をだまし取った疑いが持たれている。広瀬議員は、この事件を受けて自民党を離党した。

広瀬議員は2001年に弁護士登録。2022年7月には、参院選で岩手選挙区から初当選を果たした。昨年7月、自民党女性局の仏・パリ視察で、松川るい参院議員(53)らがエッフェル塔の前で撮影した写真をSNSに投稿、大炎上となった。その視察に、広瀬議員も参加していた。また、今年3月には、週刊誌が外国人男性との不適切な交際疑惑を、報道したことについて、広瀬議員は事実関係を認め、謝罪した。また、自民の堀井学衆院議員(52)が、選挙区内の有権者に秘書を通じて、香典を渡したとして、東京地検特捜部は7月18日、公職選挙法違反の容疑で強制捜査に入り、自宅や事務所などを家宅捜索した。

自民党の福田達夫元総務会長(57)ら安倍派の若手議員約10人が8日に会合を開き、9月の総裁選についての対応を協議し、「世代交代を進めるべき」という見解をまとめた。福田達夫元総務会長、小倉将信前こども政策担当大臣(43)、また、大野敬太郎元内閣府副大臣(55)の連名で、月刊誌「文藝春秋」に寄稿し、党改革や若手の登用などの世代交代の必要性を訴える提言を発表した。9月の自民党総裁選を巡り、元総理を父に持つ小泉進次郎元環境大臣(43)に、総裁選への出馬が取り沙汰されている。また、小林鷹之前経済安全保障担当大臣(49)には、総裁選出馬への待望論が浮上している。小泉進次郎氏が、党総裁選に出馬する決意を固めた場合、父の純一郎元総理が出馬に反対しない意向であることがわかった。純一郎氏はこれまで、進次郎氏は「50歳になるまでは総裁選に出馬すべきではない」などと語っていたが、態度を軟化させた。

小泉氏は、1981年神奈川県横須賀市生まれ。2004年に、関東学院大学経済学部卒業後、2006年に、米コロンビア大学院政治学部で修士号を取得。2007年に純一郎氏の秘書となった。2009年8月、神奈川11区から出馬し、衆院議員に初当選し、現在は当選5回となる。2019年には、環境大臣に就任した。一方、小林氏は、官僚出身で、若くして入閣、「小林」と「鷹(英語でホーク)」を掛け合わせた「コバホーク」の愛称で親しまれている。小林氏は2012年に千葉2区選出で、衆院に初当選した。現在は、当選4回。小林氏は、千葉県出身で、東京大学法学部を卒業後、1999年に大蔵省に入省した。在職中、米ハーバード大学ケネディ行政大学院での留学経験があるなど、華やかな経歴を持つ。2021年には、経済安全保障担当大臣に就任した。

★ゲスト:久江雅彦(共同通信特別編集委員)、中北浩爾(中央大学法学部教授) ★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)