米不足の救世主となるかもしれません。収穫量は1.5倍、1年で2度収穫できる新たな米に注目です。

■米の価格高騰に“救世主”?

 今、米にまつわる課題は先月からの「品薄状態」と、それに伴う新米の「価格高騰」です。

農林水産省 坂本哲志大臣 「新米の価格についてはこの品薄状態であるので、平年よりも多少の割高感はあると思っている」

 新米が高騰するなか、割安の米を買い求める人々が。

 3日、茨城県の直売所に農家から搬入された新米。その名も「食卓応援米」。5キロで2200円です。

客(40代) 「今だったら安いと思う。(他は)倍くらいの値段」

■「再生二期作」田植え1度だけ?

 地元の海鮮丼にも使われている、こうした割安の新米。実は1年に2回収穫する方法で栽培されています。

農研機構 中野洋主席研究員 「再生二期作と呼ばれるもの。普通に作る場合に比べて収量が約1.5倍」

 収穫量が1.5倍にもなるという「再生二期作」とは。

農研機構 中野洋主席研究員 「温暖化が進むなかで温暖化を逆に利用して、温暖化によって稲が栽培できる期間が長くなった」

 「再生二期作」は、温暖化を逆手にとった栽培だといいます。

照沼農園 照沼洋平社長(44) 「一度田植えをして2回稲刈りをするのが特徴」

 茨城県の米農家では、先月から1回目の収穫を開始。通常は根元から刈り取りますが、「再生二期作」では40センチほど株を残しています。その訳は。

照沼農園 照沼洋平社長 「下から再生してきたものがこちらの稲穂になっている」

 3週間ほど前に刈り取った株から、新しい稲穂が育っています。

照沼農園 照沼洋平社長 「収量も上がるので本当に助かる技術」

 「二期作」は、同じ場所で同じ作物を2回栽培。田植えを2度行います。

 ただ、「再生二期作」は田植えが春の1度のみです。1回目の収穫は8月から9月。その後、切り株から稲が再生し、11月半ばごろに2回目の収穫ができるといいます。

農研機構 中野洋主席研究員 「将来的に米の需要が供給よりも勝るようなケースが国内、海外、世界的にみて起こった時に、この再生二期作は生産量が増えるので、ある程度安定して米を供給することができる」

 価格を抑えるメリットも。田植えは1回だけなので、生産コストを抑えられます。

照沼農園 照沼洋平社長 「再生二期作を利用して単価を下げながら、おいしい米を食べてもらえればうれしい」

 年に2回収穫した場合、品質や味は変わらないのでしょうか。

農研機構 中野洋主席研究員 「我々の研究では1回目と2回目の味に大きな差はない。気温が暖かい時期に収穫すると食味の低下が抑制できる。今後、温暖化は避けられないので、温暖化を利用して逆手にとっていく技術は今後必要になる」