「米どころ」といえば新潟県など北陸、東北と思う人もいるかもしれませんが、実は北海道も全国2位の収穫量なんです。おいしさの秘密はどこにあるのか探りました。

■“やっかいどう米”が「ブランド米」に

 北海道のブランド豚「ルスツ高原ポーク」。ご飯の上にたっぷり乗せてカルビ丼に。豚肉を引き立てるお米も北海道産。ブランド米の「ななつぼし」です。

客 「もちもちで、とてもおいしい」

 東京・上野にある北海道料理の専門店。北海道産の十勝彩美牛を使った、ななつぼしのカルビ丼も人気です。

 北海道産米の魅力について店長は…。

北海道マルハ酒場 引地敏弘統括店長 「粘りのちょうど良さ、甘さのちょうど良さ。食べないと分からない。一度、来てもらって。『こんなに北海道産米っておいしくなったんだ』って年配の人は思うと思う。今はなおさら米が不足していて、『米を食べたい』というランチの客がたくさん来ている」

 米が育つには夏場の気温が低すぎないことが条件の一つと言われていますが、北の大地・北海道では今、稲作が盛んだといいます。

北海道マルハ酒場 引地敏弘統括店長 「(北海道は)今は米どころ。冷害、災害に強い米になったのは、まさに米文化。米、米、米」

 「日本の米どころ」といえば収穫量が日本一の新潟県が有名です。この新潟県に続く全国2位が実は今、北海道なんです。収獲量は新潟県に迫る47万トン以上で、全体の7%を占めています。

 北海道が全国2位の印象について、街の人に聞いてみました。親戚が北海道にいるという70代の女性は…。

親戚が北海道在住 70代の人 「(Q.北海道の米は収穫量が全国2位)え?そんなになっているんですか。広いですけど地域的には。ただ(米が)できる所は限られると思うけど。初めて聞きました。うれしいです」

30代の人 「(Q.北海道の米のイメージは?)ないです。トウモロコシのイメージはあるけど。北海道が2位というのは全く予想していなかった。食べてみたいと思った」

 米どころに躍り出た北海道。人気の訳は…。

 北海道を代表するブランド米「ゆめぴりか」はほどよい粘りと甘み、つややかで美しい炊き上がりが特徴だといいます。日本穀物検定協会の「食味ランキング」で、ゆめぴりかは13年連続で最高位の「特A」の評価を得ています。ななつぼしは14年連続で「特A」です。

 米の品薄が続くなか、北海道産の米はどれくらい需要があるのでしょうか。全国各地から米を取り寄せている都内の精米店で3代目の店主に聞きました。

小池精米店 三代目 小池理雄代表(52) 「電話で『ゆめぴりかお願い』、ネットで『ななつぼしお願い』と注文はある。今年は早急に、ななつぼしは7月ごろ、ゆめぴりかは最近、売り切れた。本当に皆さん心待ちにしていると思う」

■“米どころ”北海道産コメ 逆転の秘密

 ただ、人気に火が付くまでの道のりは非常に険しいものだったといいます。

小池精米店 三代目 小池理雄代表 「父の代の時は『北海道の米なんて食えたもんじゃない』『やっかいどう米』と言われていたくらい。元々お米は南方の作物だから、寒いところでは育たない」

 以前は「やっかいどう米」と揶揄(やゆ)された北海道の米は、どのようにしてブランド米にまで成長したのでしょうか。

 北海道で30年近く米を育てる農家の下田屋直樹さん(47)は…。

米農家 下田屋直樹さん 「『北海道の米はおいしくないから売れない』と邪魔者扱いされてきた。それをどうにかしようと『おいしいお米を』という流れが今につながっている。品種改良の効果が大きい」

 長きにわたり品種改良の研究が行われ、寒い北海道でもおいしい米に育つ品種が誕生したといいます。

米農家 下田屋直樹さん 「お米は今までできたもののDNAを受け継いで新しい品種ができる。新しい品種は確実においしくなっている。それを僕らが現場で色々試行錯誤しながら、よりおいしくと。(北海道米を)食べたことがない人が多数いると思うので、食べてみて、北海道の米ってこんなにおいしいんだって感じてほしい」

 ゆめびりかの名前の由来、それは「日本一おいしい米を」という北海道民の「夢」と、アイヌ語で「美しい」を意味する「ピリカ」を合わせたものです。