自民党総裁選挙が12日からスタートしました。政治不信にさらされた自民党の再生が最大のテーマです。過去最多となった9人の候補者全員にしっかりと話を聞きます。

【信頼できる“自民党再生”は可能?】

今回、自民党総裁選の座を争うチャンスが訪れたのは、政治とカネの問題で、多くの人が幻滅してしまった結果として、岸田総裁が退陣せざるを得なくなったからです。となると一丁目一番地は政治改革、そして、自民党の改革ということになると思います。

まずに、皆さんに『自民党の一番反省すべき点、何がダメだったのか』、事前に、正直に書いてもらいました。

(Q.小林さんは、『ルールを守らなかった』と書かれました。国会は立法府です。ルールを作るところなのに、それを守らなかったら、どうしようもないですよ)

前経済安保担当大臣 小林鷹之氏 「仰る通りです。私たちは立法府に所属している。法律を作る私たち自身が、自分たちで作った法律を守れなかった。非常にシンプルですけれど、非常に深刻な事態だったと思います」

(Q.林さんは、『政治とカネ』と書かれています。そのものズバリだと思いますが、具体的にはどういうことでしょうか)

官房長官 林芳正氏 「不記載の問題があったと思います。それが発端になって、『じゃあ、そのお金どうなったの』と、普通の方はきちっと帳簿付けて税務署に申告してと。それと比べてどうなの。いろんな問題が出たところが、ここに集約されていると思います」

(Q.石破さんは、『謙虚さの欠如』と書かれました。あり方論だと思うけれども、これはどういう思いで書いたのでしょうか)

元幹事長 石破茂氏 「いろいろ説明も一生懸命しています。ただともすれば、自分に対する反省でもあるけど、何が悪いんだみたいな。ごめんなさい、すいませんでしたってことあるんだが、それにちょっと謙虚さが足らないんじゃないんですかという。それがないとやっぱり国民の心に響かないと私は思っています」

(Q.石破さんの考えに近いのかなと思ったのですが、加藤さんは『慢心』と書かれました)

元官房長官 加藤勝信氏 「まさに裏返してみれば、謙虚さがない。あるいは、おごり、高ぶりというなかで、これまでの何となく、これ許してもらえるんじゃないかという気持ちがどこかにあった。それが結果として、こうしたルールを破ってしまった。もう1回、その原点に立って考えていかないといけない。こう思って、慢心という言葉を選びました」

(Q.上川さんは、『倫理観の欠如』から来たんだという考えですね。『倫理観』という言葉を使われたのはなぜでしょう)

外務大臣 上川陽子氏 「まず、法令遵守。これは順法精神をしっかり生かして、これに従って行動するということは、極めて重要だと思ってます。さらに、政治家は、それ以上の倫理観を持っているべき存在であると思っていて、その意味では、基本的に倫理観が欠如していたのではないかと。ここが国民の皆さんの意識との間に大きなギャップを生じさせていたと思っています」

(Q.河野さんは、『改革のスピードが不十分』だったと言われます。これについて、どんなことを考えていますか)

デジタル大臣 河野太郎氏 「この不記載の問題が起きた時に、何十人が不記載になってしまった。何が原因だったかという原因究明をしっかりやったうえで、処分をするなら、その時に処分して、デジタル化ならデジタル化をやります。非課税にしているものについては、領収書を付けてちゃんと公開しますという、処分まできっちり初動ができていれば、こんな不審を招くことはなかった。それができなかったというところに尽きると思います」

(Q.初動の遅れという話が出ましたが、高市さんは『説明の遅さ』と書かれていますが、通ずるものがあると思いますが)

経済安保担当大臣 高市早苗氏 「どんな組織でもそうだと思うんですが、何か問題が発生した時に、その原因究明に時間がかかる場合もありますけど、まず問題が発生したことを発表する。それが間違ったことであれば、謝罪の効果というのは、その地位に比例し、時間に反比例するといわれますから、できるだけ早く、地位の高い方が出てきて、そして間違ったことであれば、しっかりと迅速に謝罪をする。このプロセス、それから、その後、原因究明がしっかりとできたら、その都度、きちっと発表していくと。この初動は、非常に遅かったと私は感じます」

(Q.現職幹事長の茂木さん、『国民感覚、地方の声とのズレ』と書かれました)

幹事長 茂木敏充氏 「国民から選ばれた立法府の人間ですから、法律を守るのは当然ですけれど、それができていなかった。そのことは反省しなければいけないと思っております。法律があるんですね。しかし、それが守られなかったんですから、より政治家自身が責任を負う。さらには、透明性を高める。こういう改革を進めていかなければいけない」

(Q.小泉さんは、2文字で『決着』と書かれました。これは政治とカネの問題のことも含めての決着ということですか)

元環境大臣 小泉進次郎氏 「そうです。これは高市さんの説明に、私は似ていると思います。これだけ長く、いまだに政治とカネの問題に決着をつけられていない。これは反省すべきだと思っています。政治とカネに限らず、例えば、選択的夫婦別姓についても、30年、議論を続けて、答えを出せずに決着がついていない。私は総じて『決着』がキーワードです」

■自民党は“ケジメ”をつけたのか

自民党は、いわゆる“裏金問題”で39人に処分を下しました。そのなかで、最も重い『離党勧告』を下されたのが、安倍派の参院トップだった世耕さん、そして、安倍派の座長だった塩谷さんです。塩谷さんは、次の衆院選に出馬しないと決めましたが、「私も(離党)処分については悔しい、あるいは大変憤りを感じている。最初からこの問題は、党全体の問題。最後に自分が辞めるというのも、これは何なんだという思いがある。我々は犬死したような、そんな思い」と発言しています。

(Q.処分を下した側にいた茂木さん、今の発言をどのように受け止めますか)

幹事長 茂木敏充氏 「多くの方から見て、今回の処分が甘いんじゃないかという声があると思います。ただ、政治資金の問題について、党が行った処分では、今までで最も大きなというか、重い処分になっているのは、確かだと私は思っております」

(Q.高市さん、この処分については、考え直すということは必要でしょうか)

経済安保担当大臣 高市早苗氏 「いいえ、この処分については、私は内閣にいますので、どういう基準で、どのような調査をしてというのを詳細に知っているわけではございません。それでも弁護士も入れて、しっかり聞き取り調査もして、十分に議論をして、党のほうで処分を決めた。それは、党紀委員会にもかかり、また、最高意思決定機関である総務会にもかかった。公認しないよりも、厳しい処分も2つ出ておりますよね。だから、党の手続きを踏んで決めたことについて、私が、仮に総裁になったとして、ひっくり返すつもりはございません。ただし、お一人お一人の状況を相当違います。この間から聞いていると、選挙区を歩いて、説明会を何度もやって、自分の収支もすべて公開して、『もうこの話はいいから、次の国政の話をしてくれ』って言われてる方もいる。また不記載だった分を派閥のほうにもすでに返したと、だから派閥が清算をする前に返したという方もいて、人によって、随分、事情が違います。ただ、自民党は、選挙に勝たなきゃいけません。今度、絶対勝たなきゃいけない。だから、自民党を強くしたいと思っていますので、公認に関しましては、この事案が起きたあと、それぞれがどのような活動をして、どのように有権者の皆さまに納得していただいたか。そこのところをしっかりと判断させていただきます」

(Q.高市さんの発言について、ここに異論がある、あるいは加えたいという方、いらっしゃいますか)

官房長官 林芳正氏 「ひと言だけ。高市候補が仰った通りだと思っているんですが、私も。ただ、いま、裁判が進行中で、従って、裁判等であのときに知らなかった、わからなかった事実が、もし出てくれば状況が変わるわけですから、調査なり、党紀委員会の審査、やり直さないといけないと思っています」

前経済安保担当大臣 小林鷹之氏 「私も、一度、党のルールにのっとって決めたことですから、これを安易に覆すということではないと思ってます。ただ、もっと重要なことは、先ほど、ルールを守らなかったということが、私は本質だと思っているけれども、今回、政治資金規正法を改正しましたし、また、党として党則・ガバナンスコードを変えたわけですから、自分たちで変えたルールを、今度はしっかりと守る。守れなかったら、厳正に処するということだと思います」

(Q.河野さん、目に見える形で何かできないですか)

デジタル大臣 河野太郎氏 「法律的に捜査当局的には、書類の訂正で終わったのかもしれませんけど、やはり不記載をしたという事実は厳然として残ります。中には、不記載と同等の金額を自分のところから手放して、返している議員もいますから。私は、もう不記載になった金額は、手元から返してくださいと、国に納めるなら国に納める。そういうことで、しっかりけじめをつけて前へ進む。そういうことが法律的には処理が終わっていたとしても、私はやるべきだと思います」

(Q.加藤さん、この国庫に返納するというやり方はできるのでしょうか)

元官房長官 加藤勝信氏 「これはできます。自民党は、政党交付金をもらってるわけですけれど、残った分は返すということになっていますから、そういう形での処理ということができると思います」

(Q.不記載相当分を党として、国庫に返納する)

元官房長官 加藤勝信氏 「そうですね。まずは、自民党自体が基本的な違反行為は、もちろん派閥であり、各個人の議員でありますけれど、そうしたものが、これだけの人数、これだけの期間で行われていて、チェックできなかった。そういったことも含めて、党の責任。そして、政党交付金をもらっていることを考えると、この不記載相当分について、国庫に返納するという形で、自民党として、まず責任を取る。そして、個々の分については、いま、いろんな動きがありますから、それを見て対応するというのがあるべき姿です」

(Q.石破さんはどうですか)

元幹事長 石破茂氏 「これを国庫からもらった金なら国庫に返納するという話になるのでしょうけど。別に国からもらった金ではない。つまり、不記載のパーティー券分は、いろんな企業が買ったわけですよ。そうすると、企業にしてみても、どこに返すんだって話になる。お金に色はついてないので。どこに返すのかという、かなり技術的に難しいような気がする。私は、さっき塩谷さんが言っていたことは、犠牲者みたいな言い方をしておられた。そういう意識だと思います。彼が言っていた中に、自民党の責任なんだということを言ってましたよね。そうだと私は思うんですよ。それぞれの人は、一人一人、説明すればいいって話じゃなくて、党としてきちんと説明をするということが大事だと思っています。そういう方々がもう収支報告書も訂正をしました。きちんと政治活動に使ったんですと。そうじゃない方は納税していただかないといけないけど。じゃあ、それで、もういいのかというと、国民は、全然、納得してない。だとしたら、納得してもらうという責任は党もあると私は思います」

■派閥の論理について

派閥のあり方をちょっと聞きたいんですけれども派閥の論理、上川さん、ご自身が立候補できたのは、自民党の形が変わった証拠と仰っていました。派閥の力学は、もう働いていないですか。

外務大臣 上川陽子氏 「私の、今回の立候補に関しまして申し上げると、私は派閥という1つのご縁というか、私の派閥だった旧派閥・宏池会は解散をしております。その解散をするという、一番、初めに手を挙げたのは、岸田総理です。その派閥に所属した私は、宏池会ということでありますけれども、そこからなくなったということでありますので、今回の推薦人の願いについても、本当にお一人お一人に私の思いを伝えて、その方が、政治的に判断をされて、私に対して推薦をしていただいた。この20名なんです。その意味では、派閥という全くない状態で、私自身が、推薦人の方に20名お願いをしたこと自体が、まさに、派閥に頼らない。派閥の中で決め決めないということを証明するという意味で、私は重要だったという、大変ありがたかったと思っております」

(Q.河野さん、麻生派にまだ所属されていて、批判もあると思いますが)

デジタル大臣 河野太郎氏 「解散してない派閥はほかにもあります。解散すると言ったけど、解散してないというものは、いくらでもあります。派閥の問題で、何が悪いかといいうと、今まで、カネと人事に介入するのがいかんと言っていて、金はもうパーティーをやりませんということで、派閥はカネがない。ガバナンスコードで、人事に派閥は介入させないということになってますから。大事なのは、いま、誰が派閥に属しているか。解散したと言われてまだ残っている派閥に残っているのか。あるいはグループにいるのかということではなくて、ここで選ばれたリーダーが、本当にこの派閥や長老の介入をさせずに、人事をきちんとやるかどうかというのが一番大事で、それをやっぱりみんなで見るということなんだろうと。」

(Q.小泉さんはずっと無派閥でこられてます。ただ、菅さんという実力者が背後で支援しているといわれています。菅さんを慕う人たちが、ある意味、派閥のような形になっているということはないですか)

元環境大臣 小泉進次郎氏 「菅さんであろうと、誰であろうと、選挙になったら、応援してくれたら一番ありがたいですよ。誰でも応援してほしいです」

■政策活動費について

政治とカネの問題で、国会の後半中盤ぐらいからクローズアップされてきたのが政策活動費の問題です。

(Q.茂木さん。聞かれるだろうと思ってましたよね。政策活動費をなくすんだと仰いましたが)

幹事長 茂木敏充氏 「来ると思っていました。今回、政治資金規正法の改正で、まず再発防止策。議員本人に対する厳罰化であったり、パーティー収入の上限をどうするか。こういったことを決めて、最後の段階で、政策活動費等々について、今後どうするかということで、その上限をいくらにするか、公開の仕方をどうするかという課題が残ったわけです。自分なりに考えて、これは仕分けをして、公開することができると。だから政策活動費としては廃止することができる。最初に私が申し上げて幹事長として、大半の方がその方向になっている。自民党としてできると思っています」

(Q.林さん、なぜ廃止とはいかない)

官房長官 林芳正氏 「現職の幹事長が仰っているので、できるという気もしますが。こういうふうに決めたばっかりです。改正前、改正後と。私は、10年後はちょっと長すぎるんじゃないかなと思っていますので、総理・総裁になれば、もう少し短くできないのかというのは考えてみたいと思います。私は参議院が長かったので、党の幹事長とか、そういう役職をやっていないので、一体どういうふうに使われてたというのかほとんどわかってない。わかってないものを10年後だとか、5年後だとか、やめるとか言うだけの材料がない。しっかり精査をしたうえで、もし、これはほかのお金として、ちゃんとできるということになれば、これは廃止ということもあり得ると思います。」

(Q.個人のプライバシーとか企業の企業秘密なんかも含まれるので配慮しないといけないから、すぐ公開とか、透明化はなじまないという声もある。廃止にいくのか、透明化にいくのか。加藤さん、どうですか)

元官房長官 加藤勝信氏 「私は、透明化だと思います。原則として公開すべき。なかには、プライバシーがあって公開できないものもあるんだろうと思います。そういったものについては、今度、作る新たに国会につくる独立の第三者機関、ここで公開すべきかどうか判断してもらう。そして公開となれば、公開する。非公開となったら、一定の期間、公開しないという形で、透明化をするというのが私は一番の道だと思います。」

【世論分かれる争点 賛否は】

経済政策、外交や安全保障など、基本政策に大きな違いはないと思いますが、意見の違いも出ている問題もあります。その代表例が『選択的夫婦別姓』です。

■選択的夫婦別姓について

報道ステーションの世論調査では「選択的夫婦別性に賛成か反対か?」という質問に対し、賛成と答えた人が62%、反対が26%となっています。

(Q.選択的夫婦別姓の実施について、賛成か反対かを○か×のフリップでお示しください)

前経済安保担当大臣 小林鷹之氏:× 元幹事長 石破茂氏:〇 デジタル大臣 河野太郎氏:〇 官房長官 林芳正氏:× 幹事長 茂木敏充氏:- 元環境大臣 小泉進次郎氏:〇 経済安保担当大臣 高市早苗氏:× 元官房長官 加藤勝信氏:× 外務大臣 上川陽子氏:-

(Q.林さん、ちょっと下めに置いてることに意味はありますか)

官房長官 林芳正氏:× 「説明させていただければ。反対と賛成で2択で聞くと×になります。政府がやった世論調査があって『通称使用をもっと拡大してほしい』という第3の選択肢で言うと、ちょうど賛成の中の30~40%ぐらいがそっちになって、賛成が20%くらいになるんです。もう少し聞き方を詳しく聞いていただいて、皆さんがこの辺が納得できるところに収れんさせていかないと。これだけだと賛成が62%だから、やったほうがいいんじゃないかとなるんですけど、実際は通称使用を随分進めてきてますので、そういうところも選択肢に入れて、意見を集約する必要があるのかなと。だから今はちょっと×」

(Q.上川さんはなぜ)

外務大臣 上川陽子氏:- 「私は当選した直後ぐらいの時期、2000年ちょっとですけど、党で大議論が起きました。賛成と反対かで、女性が女性局でシンポジウムをやりましたが、女性だけで賛成・反対が真っ二つに分かれました。今に至るまでこの問題は決着が付いていません。どうして決着が付いていないのかということです。もしこれを強引に賛成か反対か、世論調査のようにやれば、必ず中に分断が起きることを危惧しています。この問題は、もちろん多数決の時代ですが、しっかりと議論を重ねていく必要があると。その意味で、政府の中に検討会を設けるなどして取り組んでいきたいと思っています」

(Q.ただそれにしても時間がかかり過ぎているんではないかというのが、小泉さん)

元環境大臣 小泉進次郎氏:〇 「議論を続けて30年。もう決着の時だと思いますね。私は総理総裁になったら、国会に法案を提出します。そして国会で、国民の議論も深めていただきながら、最終的には今日この候補者の中でも割れている通り、それぞれ家族観・価値観が違うわけですから、一人ひとり判断をしていただく、党議拘束をかけない形で判断をしていただく。このまま同姓でいきたいという方には同姓の選択肢が残るままなわけですから。別姓にしたいという選択制。選びたいという方に対して、選ぶ選択肢を増やす社会を作る。これが私が言っている、一人ひとり人生の選択肢を増やしたい。こういった思いを持って、この総裁選で議論を展開していきたいと思います」

(Q.高市さん、経団連も国際的に働く、特に女性にとって非常に不都合が多いことを挙げていたりして、選択的夫婦別姓の実施を推奨しているわけですよね)

経済安保担当大臣 高市早苗氏:× 「私自身は本当に長年にわたって、婚姻前の氏を通称として使える範囲を広げるための活動を続けてきました。婚姻前の通称使用に関する法律案も書いて、自民党政調会の法務部会に提出して、これで2回提出をしています。また、総務大臣の時には総務省単独で変えられるもの、全部の制度を見直して、1142件全ての手続きが旧字でもできるようになりました。それから、住民票に旧字も併記できるようにしたし、マイナンバーカードにも併記できるようにしました。自分の手でやれることはやったんです。ただ、他の役所の大臣もせーので同じことをやってくれんかったら、例えば金融庁が号令をかけてくれんかったら、銀行で8割ぐらいは旧字でもOKって言うんやけれども、あと2割ぐらいが戸籍氏しかダメというところは残っていると。でも総務省は全部できましたからね。そうすると全部の、国・地方公共団体、それから公私の機関・企業が通称使用届を出された方については、婚姻前の氏をちゃんと使える。その環境を整える義務を課す法律案を出しております」

(Q.加藤さん、制度的には網をかけてくことでなんとかなるものですか)

元官房長官 加藤勝信氏:× 「(選択的夫婦別姓の実施を推奨している)経団連の皆さんは不都合なことを言っておられます。制度をどうしろというとこまでは言っておられないと私は認識しています。その不都合を解消するのは、政治の役割だと思います。ただ一方で、家族が同じ姓を使う、これは基本に残す中で、旧姓というものを通称でかなりいきますから、それにとどまらず法律の中で旧姓を姓として、あるいは氏として使うことを認める。そして旧姓を使い続けられるようにする。私は旧姓続称制度と申し上げていますが、こういったことも1つの考えであると思います」

(Q.アイデンティティーの問題でもあると思います。小林さんどうですか)

前経済安保担当大臣 小林鷹之氏:× 「2点ありまして、まず先ほど経団連の話が出ました。旧姓で金融機関に口座が作れない、作りにくいと言われていますが、例えば銀行だと7割作れます。残り3割は作れないんですけど。制度上は作れるわけですから、経団連の方々から会員企業の皆さんに対して不便を解消するように働き掛けがあってもいいんじゃないかなと思うのが1つ。もう1つは、大人の選択権っていうのは大切なのかもしれないですけど、子どもの視点に立って物事を考えてみることも私は必要だと思います。例えば、兄弟姉妹の中で姓が別々になることをどう考えるのか。そうしたことも含めて、もう少し複眼的な視点からしっかりと考えて。一気に決めればいいというものではなくて、粘り強く時間をかけてでも、社会的なコンセンサスを得ていくというのが、私は政治の本質なのではないかというふうに思います」

(Q.河野さんは、色んなテーマについて改革のスピードを挙げられていたと思います。河野さんの方針から照らしてどうですか)

デジタル大臣 河野太郎氏:〇 「以前、臓器移植法というのがありました。脳死を人の死と考えるかどうか。これもなかなか歩みよりができませんでした。これは最後、党議拘束を外して臓器移植法改正法を通していただきました。こういう社会的な課題があるもので倫理的な問題を内在しているものについては、党議拘束を外して、しっかり1国会議論をしたうえで、本会議で採決をするというのが私はいいと思います。国会議員というのは決めるために選ばれているわけですから、責任を持って自分で判断をして、その判断をちゃんと説明をする。それが国会議員の仕事だと思います」

(Q.茂木さん、幹事長としていかがですか)

幹事長 茂木敏充氏:- 「河野さんと全く同じことを言おうと思ったんですけど、臓器移植法の時を思い出します。思想信条に関わる問題については党議拘束を外す、1つの考え方だと私は思います。ずっとこのまま議論を続けるのではないと思うんですけど、今、残念ながらまだ意見が集約されていない。分断されてる状況をもう少し改善する努力が必要なんじゃないかなと思っていますけど、ずるずる議論をし続ければいい問題でもないと思います」

(Q.石破さんは基本的に賛成ということですが、いつになったらこの問題は議論から卒業できるのでしょうか)

元幹事長 石破茂氏:〇 「これは早いほうがいいですよ。私は個人的には賛成なんだけれども、党内でまだ議論が尽くされてないとこあります。これいつまでもいいって話になんない。実際に不便に感じてる人がいるわけですよね。通称は通称でしかないので。選択的ということなんだから、それを否定する理由はないと私は思っています。これはもう少しっていうかな、期限は切ってもいいと思うんです。じゃあ党議拘束を外すかってことになりますと。脳死の時に何日も悩んで悩んで、脳死は人の死ではないとしました。それはもうすごい悩んだ。まさしく生死観、死生観、倫理観の根底に触れるもの。これは本当にそういう問題なのかっていう気はします。きちんと党内で議論を尽くして、不都合を感じてる人が実際いるわけで、この人たちどうしますかと。選択的なのだから、それはどういう意味なのかと。そうではなく事実婚というのをどう考える。そうすると色んな法律関係がすごくややこしくなるわけですから、そういうことをきちんとクリアにしたうえで結論を早く出したほうがいいと思っています」

■防衛増税について

防衛力増強に伴う財政負担の問題、いわゆる防衛増税。党内議論を通じて、防衛力増強のためには一定の負担を国民にお願いしたいという議論になりました。

(Q.茂木さんは今回の総裁選挙で、防衛増税に限らず、基本的に増税しないという方針で臨んでいます。そこの部分を説明していただけますか)

幹事長 茂木敏充氏 「防衛力強化をしなければいけないということで一昨年、そのために防衛費も5年間で27兆円から43兆円に増額して、その財源をどうするか。4分の1については税でお願いをする。ただ、ここについても賛成反対色んな意見がありました。それから1年半以上が経って経済は間違いなく良くなっていると思います。そして成長戦略によってさらに税収アップすることができる。一方で、国民の皆さんは今、物価高の問題、そしてまた負担が増えるんじゃないか。こういう不安を抱える中で、十分税収アップできる。税外収入、例えば外為特会185兆円お金が積み上がってます。そのほんの一部を使うだけで数兆円の利益を出すことができる。そういう財源を使えば、負担増なしに、国民の不安感なしに政策を前に進めることができる。防衛力は強化していかなきゃいけない」

(Q.今の財政に対してどういう考えを持って臨めばいいのか。河野さんはどう考えていますか)

デジタル大臣 河野太郎氏 「これからスピードは別として金利が徐々に上がっていく中で、財政赤字の利払いが増えていきます。これまではプライマリーバランスを均衡させようと言ってましたけれども、ここから先は財政収支どうするかという議論を見通していかなければいけないんだと思います。利払いを含めたバランスをいずれ調整をしていかなければなりません。経済が発展して税収が増える。それを全部何かに使うのではなくて、そういうものも含めて、この利払いを含めた財政収支を均衡させていかなければいけないと思います。防衛予算については、ウクライナその他の色んな状況があって、国民の皆様の間で防衛費を増やさなきゃいかんというコンセンサスができたと思いますし、当然、防衛予算を増やすためには裏側の財源が必要だというところまでご理解をいただいてこれを決めたわけですから、そこはしっかり決めた通りにやらしていただいて。我々がこれからやらなければいけないのは数字の議論ではなくて、この防衛費を何にどう使わせていただくのかということを国民の皆様に分かりやすく説明をしていくことだと思います」

(Q.2人の発言には少し違いがありました。小泉さんの考えはどうですか)

元環境大臣 小泉進次郎氏 「これは岸田政権が相当な政治エネルギーを費やしたうえで決めたことですよね。私はそれを引き継ぎます」

(Q.林さん、いかがですか)

官房長官 林芳正氏 「茂木幹事長が仰ってることも客観的な事実なんですが、外為特会のお金は例えばドルで積んであると。これを使おうとすると円に替えなきゃいけない。そうすると介入に形式的になってしまう問題もあると思います。景気が良い時は確かに増収していくんですが、防衛費というのは毎年必要になってくる。景気が悪くなってくると防衛費に対する財源がなくなってくるのか。そういうふうに見られる可能性がある。もっと言うと、やっぱり皆でわが国を守るために薄く広くご負担をお願いするという考え方は、私はあってもいいのかなと。現役の世代がですね。せっかく決めた。あとはタイミングどうするかっていうだけですので」

(Q.大蔵省出身である小林さんはいかがですか)

前経済安保担当大臣 小林鷹之氏 「2年前の年末に防衛3文書が改訂されて、防衛力の抜本強化については国民の皆さんの理解が比較的得られていた。しかし、増税の議論についてはちょっと唐突感があって、国民の納得感はなかなか得られていなかったんじゃないかと感じたので、年明けの去年1月に自民党内に防衛財源の特命委員会を立ち上げました。私が事務局長をやったんですけど、本当に財源がないのかということで、国有財産、土地、建物、政府保有株式あるいは特別会計の財務諸表すべてめくってみた時に、今話題になっていた外為特会の剰余金や決算剰余金、まだあるだろうということで当初早ければ令和6年度から増税スタートという感じだったんですけれども、そこは最大限後ろ倒しにしているところです。ただ一方で、この閣議決定というのはやっぱり重いものだと思っています。それを踏まえつつも、今後の経済情勢もしっかりと注視しつつ判断していけばいいんだろうと思ってます」

(Q.加藤さんはいかがですか)

元官房長官 加藤勝信氏 「議論する時に色んな財源があたってきました。歳出改革の分、決算剰余金をどう使うか、これまで貯まってきたお金をまとめて資金として使う。そのうえで増税分として考えてきた。その前提としては、年々自然増収することもあるでしょう。外為のそういったお金もあるでしょう。それはもう前提で議論してきたわけですから、そこはよく見ていくということ。それからもう1つ。自然増収があっても、一方で人件費や物件費とか増えていくお金も必ずあります。やっぱりそこはよく見ながら議論しないと、プラスだけ見て大丈夫だというのは慎重に考えるべきだと」

(Q.石破さんはいかがですか)

元幹事長 石破茂氏 「イージス鑑は、私が長官やってた時は1300億円だった。今2000億円しますから、ものすごく高くなってるわけですよ。子育て予算もそうなんですけどね、少子化対策も。これも財源きちんとしてないじゃないですか。何に対してご負担をいただくか。誰が負担する能力を持ってるかってことは、きちんと精査をしないといかんですね。政治は手品でも魔法でもない。そして誰が負担する能力を持ってますか。誰が防衛力を強化することで利益を受けますか。応益負担との応能負担の接点はなんですかということであって。じゃあ何で防衛増税だけやりませんよ。じゃあ他はどうなるんですかと。税体系全体の問題です」

(Q.高市さんはいかがですか)

経済安保担当大臣 高市早苗氏 「私は昨年年末、閣議決定前に、今は防衛増税のタイミングじゃないと言って、もめ事を起こした一人でございます。今、景気を良くする、経済を良くするというのが大前提だと思います。GDPを大きくする、税収を増やす、そのための策を練らなきゃいけない。先ほど、茂木幹事長も仰っていただいた外為特会も、評価益だけ見ても30兆円も使えるお金はあるわけですよ。それから、安倍総理が仰ってたんですけれども、道路とか橋は次の世代にインフラを残すってことで建設国債使えるよね。防衛国債も必要じゃないか。これは次の世代に祖国を残すためだと仰いました。今、建設国債は海上自衛隊には使えるようになりましたけれども、これを陸上自衛隊や航空自衛隊にも使うべきだと考えています。増税については、景気を腰折れさせたら何にもなりませんので、経済成長をしっかり見てタイミングを考えるということで、今は反対です」

【“新政権”の要 意中の人は】

新しい政権の人事、そして衆議院解散について聞いていきます。

(Q.総裁になった時に“政権の骨格”になる党の幹事長や内閣官房長官について、具体的な名前ではなくて、自分がバディを組むとしたらどういう人だということについてお考えお持ちの方はいますか)

前経済安保担当大臣 小林鷹之氏 「別に個々の名前をここでいう必要はないと思ってますけど。まず、党の幹事長は党全体を掌握できるような方だと思っています。官房長官はその党、すなわち幹事長ともしっかりとコミュニケーションできるということと、やはり総理総裁が離れている時に官房長官が危機管理を担うわけですから、危機管理という意味での判断がしっかりできる人だと思ってます」

幹事長 茂木敏充氏 「2つの基準です。1つは改革マインドを持っている方。そして結果を出さなくちゃいけませんから、実行力がある人。このバランスで組んでいくということになると思います」

経済安保担当大臣 高市早苗氏 「名前は出さなくていいんであればでしたけれども。官房長官はある程度、政策で総理と一体となって、代弁者としてもしっかりと発信をして頂けて、なおかつ危機管理ができる方。幹事長は大仕事があります。党の改革とことんやんなきゃいけない。自民党を生まれ変わらせようと強くしようと考えているわけですから、そういった力のある方と考えております」

官房長官 林芳正氏 「派閥がなくなった今、特に若い先生方を中心に教育、育てるということも必要になってくると思います。そうした下から慕われるような、この人っていうのが1つ加わると思います。それを含めて掌握する人、こういうことが1つです。官房長官は私みたいな人がいいと。それは冗談ですけども、やっぱり危機管理は守りなんですね。こっちから色々考えてやってくというよりも、今までの経験を持ちながら、全く同じ災害ないなと、全く同じ事象ないなと日々痛感してますので、臨機応変にかつルールに則って対応できるということだと思います」

元幹事長 石破茂氏 「幹事長というのは、総裁に絶対責任を負わせてはいかんですよ。そして、若い議員さんたち、現場の議員さんたちに責任を負わせちゃいかんです。全部自分が責任を背負わないと、幹事長というのは成り立たない。そして選挙は自分が一番動かなければ選挙に勝てない。そういうものだと私は思ってやってきました」

元環境大臣 小泉進次郎氏 「心から信頼できる方」

元官房長官 加藤勝信氏 「自民党は国会議員だけじゃなくて地方議員、多くの組織がありますから、幹事長は組織をきちっとまとめ上げていただく。官房長官はペアですから、心がつながる、それが大事だと」

外務大臣 上川陽子氏 「今の時代、国民の皆さんとの対話がしっかりできる。コミュニケーションをすることができる幹事長であってほしいなと思っております。また、政権の中では官房長官はまさに危機管理の要を担うわけでありますので、その意味での責任感とそして決断力、こういったものがある片にと思っております」

■“解散”の時期は

(Q.報道ステーションでは9日、立憲民主党の代表選挙の候補者に来てもらいました。皆さんの中には『早期に解散』と言う方もいる。この解散の大義を聞いたら、野田佳彦さんが小泉さんを名指しで『改革を1年以内にやると言っているが、任期はあと1年ある。なんで解散するのか。疑似政権交代でごまかそうということじゃないか』と辛辣なことを言っていました)

元環境大臣 小泉進次郎氏 「野党は、解散を求めないとおかしいんですよ。『疑似政権交代でごまかそう』と言ってますけど、野田元総理が言われているスローガンは『政権交代“前夜”』ですよね。だったら『解散しろ』と言ったほうがいいですよ。そうじゃなかったら『政権交代“前年”』というキャッチフレーズに変えなきゃいけないじゃないですか。私は、これだけ問題を起こして、さらに改革プランも含めて、これから新しい政権ができたら、信を問うのは憲政の常道じゃないかと思います。むしろ、野党にとっては、政権交代をするために解散というのはチャンスなんですから。全く逆じゃないですか」

(Q.河野さん、どうですか)

デジタル大臣 河野太郎氏 「野党が解散を怖がっているのでは、野党にならないと思いますね。野党が常に解散しろ解散しろと言うのが、野党なんじゃないかと思います」

(Q.石破さん、解散の大義、一定の成果を見せて解散という考え方もあると思います。今だと、これからやることについて信を問うということになる。そういう意見もあると思いますが)

元幹事長 石破茂氏 「主権者である国民が判断できる材料をきちんと示すのは、それは新政権の責任です。材料もないのに、判断してくれという話にはならないんだよ。そして、アメリカも大統領が変わる。ロシアでは戦争やっている。世界がどう変わるかわからない時に、衆議院議員半分いなくなるんですから。解散をいつやるかというのが、総裁選挙の争点になること自体、私はおかしなことだと思います。主権者である国民が判断できる材料は早急に提示をする。今言えるのはそれだけです」