埼玉県八潮市の道路陥没。事故現場に初めて本格的な雨が降りました。現場の穴が拡大する恐れがあるとして新たに避難区域が設定され、区域内の住宅5軒に対し避難を呼びかけています。

■陥没現場 穴拡大恐れ 5軒に避難要請 (木下正嗣記者)「作業員が重機を使い土砂を穴の底からかきだしています。穴の底から水のようなものがあふれているのも見えます。」 埼玉県八潮市の道路陥没事故から6日目、安否不明のトラック運転手の救助が急がれる中、現場には無情の雨が…深夜から本格的な雨となった現場では周辺の土を重機で掘りだす作業が、暗い中でも行われていました。穴の中の水が増え、足場が悪くなったことで、1日の夕方から一部の作業が中断せざるを得ない状況となりました。 困難を極める作業…現場には大型ダンプカーが何台も訪れ、瓦礫などを運び出す様子が伺えます。一方、現場から200mほど離れた場所では… 「オーライ!オーライ!OK!」 (鴇田明信ディレクター)「現場の近くでは作業員がマンホールにホースを入れています。」 穴の水の水位を下げるため現場周辺の下水を吸い出す目的とみられます。 (木村成一記者)「現場の上空でドローンが飛んでいます。」 救助現場の最前線はどの様な状況なのでしょうか。 (木下正嗣記者)「穴の中にはコンクリートのパイプのようなものが散乱しています。ここから見る限りトラックのようなものは見えません。陥没した穴からは水がまだ出ています。」 1日の陥没現場の空撮と比較すると手前の雨水管のコンクリートブロックの一部が撤去されるなど、徐々に穴の状況がはっきりしてきたように見えます。 (埼玉県 大野元裕知事)「昨日、救助活動用スロープが前倒しで設置できたものの、下水の流入が続き、足元の確保ができないため、救助活動を担う草加八潮消防等では活動の中断を余儀なくされている」 消防によるとスロープの先端附近から水が出ており、スロープを迂回させる措置も検討されています。 八潮市は2日、新たに穴が広がる恐れがあるとして避難区域を設け、対象の5軒に対して避難を呼びかけています。

■”節水”も長期化 美容室も困惑 現場周辺では…こちらの美容室では、シャンプーの回数を減らすなど、水の使用を極力控えてきました。 (プレールフォーヘアー 安立さと美店長)「シャンプーはカット前に1回と、カット後にもう1回やってるんですけども、1回目のシャンプーをしないで洗い流さなくていいトリートメントを最後に仕上げで使ってセットしている」 事故発生後、埼玉県は八潮市をはじめ、下水道の流域にある12の市や町に、下水の使用制限を呼びかけてきました。影響を受けているのは、約120万人。

「こんな感じで洗濯物が…」 八潮市に住む飯塚さん家族も排水制限に戸惑いを隠せません。 (八潮市在住 飯塚康弘さん(31))「本来であれば昨日の段階でこれは全部洗濯して、これもうすぐ使うんで乾かして持っていくはずなんですけど、まだ洗えてない状態ですね」 まだ幼い3人の子どもをもつ飯塚さん夫妻。食事のときにも、こんな工夫をしていました。 (飯塚康弘さん)「洗い物をなくすためっていうのが第一番で、ラップを食器の上にひくことによって汚れないじゃないですか。(ラップを)取れば全然きれいなんで」 冷凍食品や紙皿なども使いながら、なるべく水道の利用を控えている飯塚さん。 洗濯物を抱えてやってきたのは、隣の市にある妻の実家。 (飯塚康弘さん)「すいません、ちょっと洗濯物の量が多いんですけど」 (義母 佐藤恵理子さん(57))「大丈夫です」 飯塚さんは事故後、洗濯を義理の母に頼ってきました。 (義母 佐藤恵理子さん)「大変な時は助けてあげないといけないというのは当然のことなので」 (飯塚康弘さん)「期間が長引こうが、早く要救助者を救助してほしいというのが、やっぱり一番の願いではあります」

■止まらぬ水 今後の救助は? 長引く救助作業の最大のネックは水の影響です。今後の作業について、専門家は… (地盤工学に詳しい 芝浦工業大学 稲積真哉教授)「雨は当然地下水となって流れますので、(穴に)流入するということをまずは止める。薬液を穴の中に側面または底面に注入するというのが今考えられる一つの対策・方策なのかなと。」 下水などに加え、地下水が染み出すと、水が溜まりやすくなり、全ての作業の妨げとなります。そのため、特殊な薬液を注入し地盤を固めることで、水の流れを止めながら作業を行う必要があるといいます。 (地盤工学に詳しい 芝浦工業大学 稲積真哉教授)「全面的に止水するのがベストです。ただしそれをしようと思えば相応の時間がかかりますので、水が出ているエリアを狙って薬液を使うというのが一番ベスト。どこから今水が出てきているのかというのをまず特定する必要があるかなと思います。」

2月2日『有働Times』より