長野県で中学生が車にひかれて死亡した事件。ひき逃げかどうかを巡り、2審の無罪から一転、7日に最高裁は有罪判決を下しました。その理由を裁判長は。

■なぜ2審から一転、有罪に?決め手は?

母 真理さん 「私はずっと加害者に救護義務違反が認められることを、反省の機会が与えられることをずっと樹生(息子)にお願いしてきました。その判決がきょう最高裁の法廷で聞くことができ、判決を聞いた瞬間、涙があふれました」

 ひき逃げか、否か。救護措置の解釈を巡って1審と2審が正反対の判決となった注目の裁判。これまでの経緯をまとめます。

 事故が起きたのは約10年前。長野県佐久市の市道で当時、中学3年生だった和田樹生さんが車にはねられて死亡しました。

 事故を起こした池田忠正被告(52)は過失運転致死の罪で執行猶予付きの有罪判決を受けましたが、その後、今回の裁判である“ひき逃げの罪”で起訴されています。

 最高裁の判決に先立って樹生さんの両親は、こう訴えていました。

母 真理さん 「被害に遭った人の生命の安全、身体の保護を第一に考えていただきたい」

 主な争点は池田被告が取った事故の後の行動です。

 衝突現場から約100メートル地点で車を止めた池田被告。現場に戻って約3分間、被害者を探しましたが見つかりません。

 池田被告は飲酒運転を隠すためコンビニ店に向かい、口臭防止剤を購入して服用。再び現場方向に戻ったところ、被害者が見つかったため人工呼吸などを行ったといいます。

 1審では飲酒を隠すための行動があり、直ちに救護措置を行わなかったとして有罪に。2審では「総合的に見て救護措置を怠ったとはいえない」として無罪になりました。

 今月7日午後に言い渡された最高裁の判決では…。

岡村和美裁判長 「被害者の救護と無関係な買い物のためにコンビニエンスストアに赴いており、救護等のため必要な措置を臨機に講じなかったものといえる」

 最高裁は無罪とした2審判決を破棄。池田被告は懲役6カ月の実刑判決が確定します。