コロナ禍で倒産の危機に陥っていたタクシー会社が始めた異色の「キクラゲ栽培」。全国各地で深刻化している空き家問題の解決にもつながるとして注目を集めています。

グリーンハウス サントミ 関野真記雄さん 「すごく評判がいいですね。見た目もさっぱりした品質で肉厚なので」

 「ぷりっぷりっ肉厚」。タクシーのドアに大きくプリントされた「キクラゲ」の広告。

 本業のタクシーとは全く結び付かない「キクラゲ」栽培。きっかけは倒産の危機でした。

日栄交通 常務取締役 清水雄一郎さん 「コロナ時にタクシー会社ですごく損害が出て、売り上げがものすごく減少しているなかで、空いている土地で何かできないかなと…キクラゲを始めました」

 栽培開始からおよそ5年でスーパーで販売したり、学校給食に提供したりと、タクシー事業での利益を大きく上回るほどまでに成長しているそうです。

 しかし、夏が旬の「キクラゲ」を栽培するには常に20℃から25℃くらいの環境を保つことが必要で、四季がある日本で育てるのは難しいと言われています。

 このことから「キクラゲ」は現在、国内消費量のおよそ90%が中国からの輸入品です。

 この状況を打破しようと検討に検討を重ねていた清水さんは、断熱性のある空き家の利用を思いついたといいます。

 総務省によりますと、全国の空き家は2023年には過去最多の900万戸に上っていて、治安や防災などの面で大きな問題となっています。

日栄交通 常務取締役 清水雄一郎さん 「空き家を使ってここで実験したり、色々検証したりして、次はうちで菌床を作れるようになったら、このノウハウと一緒に全国的に広めていけたらいいな」

 「地域の足を守りたい」。その思いからスタートした「キクラゲ」栽培。

 全国各地で増加している空き家問題の解決にもつながり始めています。