週明けには、再び「10年に1度の大雪」が予想される日本列島。先日の寒波による影響がいまも続く地域では、忍びよる新たな大雪に不安の声も出ています。(2月15日ОA「サタデーステーション」)

■路面凍結?旭川動物園近くで観光バス事故

15日午前10時半ごろ、北海道旭川市にある旭山動物園の近くで、観光バスや乗用車など、少なくとも10台が次々と衝突しました。事故にあったバスの運行会社によりますと、先頭を走っていた観光バスが、なんらかの原因で停止し、その後、後ろを走っていた車両が追突していったということです。

15日の旭川の最低気温はマイナス6.3℃。厳しい寒さで道路がアイスバーン状態になっていた可能性もあります。この事故で50代から60代の女性3人と30代の男性1人のあわせて4人が病院に搬送されています。

■春の陽気一転 全国で極寒&強風か

一方、東京の最高気温は14℃。3月中旬並みの陽気になりました。

浜離宮恩賜庭園に来た人 「寒暖差があると子どもの体調も心配」 「風もなくて暖かいのでうれしいです」

しかし来週は、長く強い寒波が再び襲来。関東でも北風が強まり、低温になる予想です。強風に乾燥という条件も重なるため、火災への警戒が必要です。そして先週、死者13人、負傷者187人を出した「10年に1度の大雪」。来週も再び、日本海側の広い範囲で「10年に1度の大雪」が予想されています。

■スキー場は厳戒態勢 “人工雪崩”も

大雪の合間の気温上昇により、懸念すべきなのが雪崩による被害です。10日、福島県では雪崩が県道を塞ぎ、温泉旅館3軒が孤立状態に。一時、62人が取り残されました。

時速が最大20kmにも及ぶという雪崩。巻き込まれれば命を落とす可能性さえあります。15日にサタデーステーションが訪ねたのは、人工的に雪崩を起こし、被害を防止する対策を行っているスキー場。

苗場スキー場パトロール隊長 西銘春彦さん 「基本的には過去になだれが起きた場所、起きやすい場所、そういった急斜面をメインに行っています」

山頂に到着するとスキーを履いた隊員が尾根の部分を滑って進んでいきます。すると‥

報告・富樫知之ディレクター 「かなり一気に雪が落ちていきますね。隊員の方が滑ると大量の雪が落ちていきます」

この作業はコースの外側でも‥

報告・富樫知之ディレクター 「こんな木と木の間のところも通っていくんですね。ほとんど崖です」

こうした場所でも雪崩対策を行うには理由があります。先月16日、北海道の富良野スキー場でバックカントリースキーをしていて遭難したアメリカ人男性が救助されました。インバウンドの増加に伴い、外国人によるバックカントリースキーでの事故も相次いでいるのです。15日に苗場スキー場に来ていた外国人に聞くと…

イギリスからのスキー客 「一人で出かける前にもう少し(場所について)調べて行った方がいいように思います」

苗場スキー場では、特に危険な個所で毎日雪崩対策を行っています。

こうした対策は海外でも行われています。カナダ軍による雪崩対策では、麓から大砲を打ち込んで人工雪崩を発生させています。

15日の苗場の最高気温は、7.8℃と3月中旬並み。雪崩対策への影響は…

苗場スキー場パトロール隊長 西銘春彦さん 「この天気が良い状況というのも、今度は亀裂等が開いてきて、それが雪崩れに繋がりますので、とにかく毎日チェックすることが大事です」

■なぜ再び「10年に1度の大雪」に?

来週「10年に1度の大雪」となれば2週間で2回目。何が起きているのでしょうか?

テレビ朝日ウェザーセンター 星井彩岐予報士 「『北極振動』と呼ばれる現象が原因の1つと考えられます。北極付近では寒気をため込んだり放出したりを交互に繰り返すものですが、現在は放出のタイミングになっています。その影響で先週、北極からの強い寒気が日本付近で長く滞在しましたが、来週もまた同じ理由で日本は長く寒波に覆われる見通しです。さらに今年はその放出のタイミングが2月と春先にずれ込んでいるので、この時期としては10年に1度レベルの寒さや大雪が予想されています。これだけ長く寒波の影響が連続して日本付近で続くのは感覚的ですが珍しいことかなと思います」

■いまだに先週の大雪の影響…再びの寒波に不安

報告・朝倉有香ディレクター 「午後6時半すぎです。現在も会津若松市内では道路がデコボコしていて、走行するのが大変な状況が続いています」

先週の「10年に1度の大雪」により、いまだに市民の生活に大きな影響が出ているのが、福島県会津若松市です。7日に観測史上最大となる121センチの積雪を記録しました。1週間以上が経ち、除雪が進んだ場所もみられますが、いまだに圧雪状態になっている道路も多く、鍬を使って除雪作業をする住民もいました。貴重な晴れ間、そして休日にもかかわらず、雪かきに追われています。

市内を車で移動するにも普段の2倍から3倍以上の時間がかかる状況です。14日までに終わる予定だった幹線道路の集中除雪も、除雪した雪を運ぶダンプカーが渋滞に巻き込まれるなど作業が遅れ、20日まで行われることになりました。

ほしのハウス 上野新吾さん 「きょうあすぐらいには終わらせたいんですけど、終わらないですね。まったく終わらないです」

会津若松市内で不動産会社に勤める上野さん。不動産会社にとってこの時期は本来、新年度に向けての入居や退去の手続きなどが相次ぐ繁忙期なのですが、記録的な大雪の影響で、先週水曜日から、10日以上にわたって、管理している約50件の賃貸物件をまわり、除雪作業に追われていました。

ほしのハウス 上野新吾さん 「だんだん時間が経つと、雪って湿っていくんですよね。重みが増すんですよ。通常の倍になったりで、体力も結構使いますね」

大人の背丈ほど積みあがった雪をスコップでトラックの荷台に移していきます。荷台がいっぱいになったら雪捨て場へ。多い時には、1日に15往復する日もあるといいます。

ほしのハウス 上野新吾さん 「本当に進みづらいですよね…いつもだったら雪捨て場あたりは10分くらいで行ける所ではあるんですけども、10分が本当に30分とかかかりますね」

雪捨て場に到着すると…

ほしのハウス 上野新吾さん 「雪が積もってますね。だいぶフル稼働ですね」

市内各地から運ばれてきた雪が、一面まるで壁のように、うず高く積みあがっていました。会津若松市は15日から新たに雪捨て場を2か所開設。しかし、雪が溶けて地面がぬかるんでしまい、受け入れを一時停止する場面もありました。

一方、こちらは市内のバス会社。普段は出払っているはずのバスがずらりと並んでいました。公共交通機関も再開が見通せない状況が続いています。

会津バス運転者 岩藤義徳さん 「(運休は)20年くらい前に1度あったんですけど、それ以来」 会津バス・バス事業本部 小澤睦さん 「道路調査を当社の従業員がやったものを地図にプロットしたものになっていて、これを元に道路管理者に除雪の依頼をしている」

除雪が進み、多くの道が通れるようになったといいますが…

会津バス・バス事業本部 小澤睦さん 「除雪作業(状況)が日々日々変ってきていますので、その都度確認をして、その情報を元に運転再開の見定めをしたいと考えている」

見回りに行ったドライバーが書いたメモには、「入れない」「右折厳しい」などの文字が。「車一台分のみ」と書かれていた場所へ行ってみると…

会津バス運転者 生江和俊さん 「バス一台はおろか、車一台ですらやっとの道ですれ違えないんです。ここにバスを本来は通している」

本来は相互通行の道路ですが、両脇に積み上げられた雪によって狭まり、乗用車が1台、ようやく通れるくらいの幅です。そこへ来週にも再び寒波がやってくるといわれています。

会津バス運転者 生江和俊さん 「不安しかないです。ご利用されるお客さんがバスを使えないというのが申し訳ない」

会津若松市ではゴミ収集車のスタックも多発していて、市は燃やせるごみ以外の収集を今月末まで停止することを決めています。

観光への大打撃もずっと続いています。会津の郷土料理を提供している旅館の中を案内してもらうと…

「料理旅館 田事」湯田ますみ料理長 「この宴会場も真っ暗な状態になっちゃうんですよ。雪のために」

日中なのに暗い宴会場。障子を開けてみると…

「料理旅館 田事」湯田ますみ料理長 「本当大変なんだよ。どうしようかなと思って。すごいでしょこれ」

窓の外には屋根から滑り落ちた雪が覆い被さっていました。

「料理旅館 田事」湯田ますみ料理長 「(窓は)開かないんですよ。屋根の雪の重みで」

先週は、毎年恒例の「会津絵ろうそくまつり」が初めて中止に追い込まれ、満室だった予約も1室以外すべてキャンセルになりました。現在もキャンセルが相次ぐ中で、来週再び「10年に1度の大雪」が予想されることについては…

「料理旅館 田事」湯田ますみ料理長 「もう本当にがっかりですね。またこの上に雪が降られちゃうとまた大変なので、早く排雪してほしいですね」