第97回アカデミー賞で5冠を達成した「アノーラ」に出演するロシア人俳優のユーリ・ボリソフ氏は受賞は逃したものの、ロシアと西側の双方で活躍する稀有(けう)な存在だと指摘されています。

 ロシア人のユーリ・ボリソフ氏はアノーラの演技で助演男優賞にノミネートされました。

 ボリソフ氏はハリウッドで活躍する一方、ロシア映画への出演も続けています。

 先月、封切られたロシア映画「預言者」では文豪・プーシキン役で主演し、高い評価を受けています。

 ニューヨーク・タイムズは「ロシアによるウクライナ侵攻で多くのロシア人アーティストが西側から切り離されるなか、ボリソフ氏は分断を越えれた数少ないアーティストの一人だ」と指摘。

 ボリソフ氏はウクライナ侵攻を支持も非難もせず、ロシア政府に利用されることも避けてきたとしています。

 ボリソフ氏は約10年前からロシアの戦争映画に多く出演してましたが、22年以降はこうした映画への出演はありません。

 今月2日の受賞式では、助演男優賞のプレゼンターのロバート・ダウニー・ジュニア氏はボリソフ氏の演技力をたたえ、「君には素晴らしい未来があり、正しい場所にいる」とコメントしました。