宮城県南三陸町は東日本大震災の津波で被災した旧防災対策庁舎について、3月から照明で照らすことを決めました。毎月10日と11日の日没から、各翌日の夜明けまで点灯します。

 南三陸町の佐藤仁町長が明らかにしました。旧防災対策庁舎は、震災の津波で避難した職員や町民43人が亡くなりました。佐藤町長は、庁舎の屋上で手すりにつかまり生き残りました。

 津波で鉄骨だけになり保存か解体かで町民の意見が分かれましたが、2024年7月から町の所有となり震災遺構として保存されています。

 照明の点灯は毎月10日と11日の日没から翌日の日の出までで、8月のお盆やとうろう流しの時期も迎え火や送り火の意味で照らす予定です。

 LED照明14個を旧防災対策庁舎の周りに設置し、ライトアップという言葉は使わず、柔らかく抑えた光にするということです。 佐藤南三陸町長「亡くなった方々に本当に追悼と鎮魂という思いで、照明を設置をするということ。生き残った人間として、あそこで犠牲になった方々に我々がやれることは何でもやってやりたいという思いが根っこにはある」

 町民の意見は、今も分かれたままです。

 「遺族がお願いしたことと逆になったな。観光地になったんだなと。なぜ照明をつけなくてはいけないのか、理解ができないですよ」「話し合いの結果、照明を設置することになったと思うので私は何も言うことはない。ただ、あそこの場所にいまだに立てないという気持ちは変わらない」

 町は5日の夕方に照明を試験点灯し、10日から点灯を始めることにしています。