東北大学青葉山キャンパスにある次世代放射光施設ナノテラスは、2024年4月から加入金を支払った企業などが利用していますが、3日からは公募で選ばれた研究者による実験が始まりました。

 ナノテラスは、非常に明るい光=放射光を物質に当てることで、その構造をナノレベル=100万分の1ミリ単位で解析できます。

 施設には現在、ビームラインと呼ばれる実験設備が10本整備されていて、このうち7本については加入金を支払った企業や大学が2024年4月から利用しています。

 3日に利用が始まったのは、3本の共用ビームラインです。半年ごとに公募で選ばれた研究者が、施設を無償利用できる代わりに成果を論文などで公表することが求められます。

 初回は75件の応募があり、この中から国内外の研究者による38件が選ばれました。

 東北大学の湯川龍准教授は、電力を制御するパワー半導体となりうる材料を分析する予定で、早速実験に取り掛かっていました。

 東北大学湯川龍准教授「素晴らしい環境の中で実験できるということで、身が引き締まる思いです。必ず面白い結果を出したいと思って実験に臨みます」

 東北大学の鈴木博人助教が使うビームラインは、電子のエネルギーのわずかな差を世界最高の精度で測定できるといいます。

 東北大学鈴木博人助教「世界で戦える研究環境を整えていただきましたので、最大限活用して世界に負けない研究成果を出していきたい」

 ナノテラスでは今後、無償で利用できる共用ビームラインを増やす方針です。