旬を迎えたサクラエビ。自宅でも簡単にできる絶品の「漁師メシ」を紹介します。

■桜えび 旬の漁師メシ

 “駿河湾の宝石”とも呼ばれるサクラエビ。その名の表す通り、ピンク色に輝く身が丼を彩ります。

 春に取れたものは旨味が強く食感がよいため、かき揚げにももってこいと言われています。

東京から来た人(60代) 「春の風物詩かなという感じで春を感じた」

名古屋から来た人 「やっぱり由比だと思う、サクラエビは」 「ここまで来る甲斐がある」

 いよいよ、静岡県の由比の港が春漁のシーズンを迎えました。悪天候が続き、解禁日から1週間を経ての初日です。

 悪天候の影響で、サクラエビ漁初日の水揚げ量は約3.1トン。去年の15.5トンを大きく下回りましたが、今後は増えていくと見込まれています。

静岡県桜えび組合 實石正則さん 「自分たちも(取る量)規制しながらやって来て、資源は少しずつ間違いなく増えている。また増えて浮いて皆さんに食べていただければありがたい」

 サクラエビの町・由比には春の味覚を求めて全国から観光客が来ます。

広島から来た人(30代) 「自分は何もかけず食べている。生のままでも味がついている」

沼津から来た人(70代) 「サクサクしてすごく甘い」

 定番の調理法は「かき揚げ」です。衣に絡めたたっぷりのサクラエビを一挙に油に投入し、サクサクに揚げる。

 地元では生やかき揚げのほか、様々な料理に生かされているそうです。

■桜えび 美味しい食べ方

 地元で愛される「漁師メシ」を港町の料理人夫婦に聞きました。

 今回は特別に家庭の味を再現してもらいます。妻の手に握られているのは、ご飯。店のまかないから始まったという、家でも簡単に作れる漁師メシが「バラ天むすび」。

 ふわっと握られたご飯にしょうゆ、みりんを合わせた甘辛いたれが染みています。

飲食業50年以上 伊藤由紀子さん(72) 「かき揚げが欠けたりバラバラになったから生まれた。(タレは)家庭なら麺つゆで構いません」

 続いての料理は、鍋を火にかけてネギなどを煮込んでいます。由比地区で伝承されている郷土料理。

飲食業50年以上 伊藤由紀子さん 「沖あがり。漁師が昔、夜の漁に出て寒くて沖で体が冷えて温めるために『沖上がり』だけあって沖で作って食べる」

 沖あがりはサクラエビを豆腐やネギと一緒にすき焼き風に煮込んだもの。沖から上がった漁師が漁の反省をしながら酒の肴(さかな)に食べたといわれています。

飲食業50年以上 伊藤由紀子さん 「疲れると甘いものが食べたくなるから、甘じょっぱい(味付け)砂糖の消費量がすごい、由比は」

 次は、かき揚げの乗ったご飯に温かいだし、だしと桜エビが香る逸品。

飲食業50年以上 伊藤由紀子さん 「サクラエビのかき揚げのだし茶漬けです」

 定食のかき揚げを客が「味変」して生まれたそうです。

飲食業50年以上 伊藤由紀子さん 「だしがおいしい、昆布・かつお節・さば節で取っている。最後まで飽きずに食べられる、味変して」

 サクラエビ料理を提供し続ける2人が食材としての魅力を語ります。

ごはん屋さくら 伊藤忠雅さん(65) 「素晴らしい味で栄養価も高い。静岡県で取れる唯一無二の商材」