特集は、4回目のワクチン接種についてです。3回目までは広く接種を呼び掛けていましたが、4回目の接種は対象者が限られます。どういう狙いがあるのか、専門家に聞きました。
政府は、新型コロナウイルスの4回目のワクチン接種について、5月25日から接種を始めることを決めました。これまでの3回目までは希望する人に広く接種を呼び掛けてきましたが、4回目では方針を転換し、60歳以上の高齢者と18歳以上で基礎疾患のある人に限定しました。
仙台市は27日から接種券発送 個別接種と集団接種で対応
仙台市では、3回目接種から5カ月が過ぎた8万3000人に5月27日から接種券の発送を始め、医療機関の個別接種と市内6カ所の集団接種で対応します。
接種対象絞った狙い…専門家に聞く
4回目の接種対象を絞った狙いとは?日本ワクチン学会理事で、長崎大学大学院の森内浩幸教授に聞きました。
長崎大学大学院・森内浩幸教授「一番の要因としては、どんどん変異株が新しいものに置き換わることにより、もともと武漢のウイルスに対応するように作ったワクチンの効果が小さくなってきていることにあります。現時点で、オミクロン株、その系統株の感染を防ぐ効果というのは、たかだか数十%程度、しかもそれがせいぜい数カ月程度しか続かないと思われています」
これまで国内で承認された4種類のワクチンは、新型コロナの初期のウイルスを想定して作られています。一方で、ウイルスは表面の突起など形を変え、変異を繰り返してきました。
長崎大学大学院・森内浩幸教授「今の追加のワクチンの接種というのは、あくまでも重症化を防ぐためのものであって、流行そのものを抑え込むということを期待することはできないだろうという判断」
4回目ワクチン接種 重症化予防に効果 重症化「4分の1に減少」
感染予防は期待できなくても、重症化予防の効果に関するデータは、先に4回目の接種をした諸外国から得られていると言います。
長崎大学大学院・森内浩幸教授「例えば、イスラエルの方で60歳以上の高齢者に対して4回目の接種をした結果、3回目の接種しかしていない人に比べると、入院しないといけないような人は半分くらいに減る。重症化、本当に命に関わるような人は4分の1に減らすことができる」
4回目ワクチン接種 60歳以上の対象者の反応は?
仙台駅前で聞いてみると、今回対象になった人の反応はさまざまです。
70代「3回目の時にすごく熱が出て、仕事を休んだので、4回目は同じような経験はちょっとつらいのでどうかなと」
70代「副反応から比べたら安心感の方を得たい。4回目があっても積極的に打つと思う」
60代「私はもう良いんじゃないかなって派なんですけど、打たないといけないんだったら打つほかない」
70代「(接種するか)分かんないですね、分からない」
18歳以上の接種 基礎疾患ある人・重症化リスクある人に限定
そして、18歳以上の接種については、基礎疾患のある人や医師が重症化リスクがあると判断した人に限られました。
この基礎疾患とは、心臓や呼吸器などの慢性疾患のほか、睡眠時無呼吸症候群も含まれ、自己申告となります。このほかにも肥満度を示す指標BMIが30を超える人も対象です。
接種の対象外 若い世代の反応は?
若い世代の接種対象が絞られたことについて、街で聞くとこんな声が…。
30代「やっぱり医療従事者が含まれていないのは少し気になる。やっぱり必要な人はもうちょっといるのかな」
50代「医療従事者が対象でないんだったら、僕はさらに危険度が低いというか打たなくて良いのかなと」
これについては、仙台市の郡市長も記者会見で言及しています。
郡仙台市長「医療従事者をはじめエッセンシャルワーカーの方々は、自身の安全や周りの方の安全を考えながら接種すべきではないかと考えておられるということは、十分に承知をしている。その旨は、市長会等々を通じまして国に対して要請を挙げているところです」
基礎疾患の有無は接種券を送る自治体が把握していないため、3回目接種から5カ月が過ぎた18歳以上全員に接種券を発送します。
仙台市の対象者は計33万人の見込み 政府は対象者について引き続き検討
仙台市では、実際に接種を受ける人は60歳以上の28万人と基礎疾患を持つ人を国の算定式に基づいて5万人と試算していて、合わせて約33万人になると見込んでいます。
ただ、対象については政府が引き続き検討することにしているため、市では届いた接種券は捨てないでほしいと呼び掛けています。
4回目のワクチン接種の対象から外れた60歳未満の世代は、接種しなくて良いのかと不安に思う声も聞かれました。接種対象に関しては、今後も議論が行われるので、注視していきたいです。