関西電力が宮城県川崎町で予定していた風力発電の計画を撤回したことが分かりました。

 この計画については、蔵王を巡る景観への悪影響などを理由に地元から強い反発の声が上がっていました。

 風力発電計画の撤回は、関西電力の幹部が29日午前に県庁を訪れ、県の担当課に伝えました。

 関西電力が今回の計画を発表したのは5月下旬で、それからわずか2カ月で撤回する異例の展開になりました。

 当初の計画では、川崎町の南西部の山林などに高さ140メートルから180メートルほどの風力発電の風車を、最大で23基つくるというものでした。

 川崎町によると、関西電力は2028年度の着工、2031年度の運転開始を目指していました。

 しかし、計画は蔵王の御釜からの眺望など、景観への悪影響は避けられないものでした。

 予定地が蔵王国定公園にかかっていたことも含め、環境アセスメントを巡る県の審査会からも厳しい批判が上がりました。

 関西電力は、国定公園への建設をあきらめ風車を23基から19基に削減し、更に絞り込むとしていましたが、最終的に採算が合わなくなると判断したとみられます。

 地元住民らの反対意見書は、川崎町に寄せられただけで3700人分に上っていました。

 川崎町の小山修作町長は電話取材に対し「ほっとしました。再生可能エネルギーは大事だが、地域に寄り添った計画、説明姿勢でないと受け入れるのは難しかった」と話しました。