宮城県の気仙沼港では5月、1日当たりの水揚げ金額が5億円を超え、41年ぶりに最高記録を更新するなど活気づいています。一方で、電気代の高騰が魚を流通させるためには欠かせない氷の値上げにつながっています。

 気仙沼港では12日もビンナガマグロやカツオなどが次々と水揚げされました。不漁だった前年とは一変した状況です。

 気仙沼漁協臼井靖参事「数字的には5月の水揚げが前年の4倍ぐらいですね。今からカツオ漁に切り替わっていくと思いますが、予報でも前年のようなことはないということで、今後期待しているところです」

 水揚げの増加とともに需要が増すのが氷です。気仙沼市の岡本製氷は、漁船への積み込みや魚の出荷に使う氷を製造しています。

 岡本製氷は、企業向けの高圧という契約を結んでいます。

 電力会社によりますと、4月時点の値上げ幅は前年と比べて一般的に16%から18%です。工場で使う電力量は家庭用と桁違いのため、その影響額は計り知れません。

 岡本製氷岡本寛社長「今までは(年間平均)250万キロワットで6000万円使ってたんだけど、今度の値上がりで大体9000万円から1億円になる」

 岡本製氷では1日当たり約200トンの氷を製造し、出来上がった氷は24時間稼働させている冷凍庫で保存しています。

 会社の経費の3割を占める電気料金が高騰していることで会社の経営が厳しくなっているため、7月から氷の販売価格の値上げを決めました。値上げは1980年以来、43年ぶりです。

 岡本製氷岡本寛社長「約10人分の人件費が(電気料金の)値上がりでふっとんでしまう。(7月から)15%ぐらい上げるけど本当はもっと上げなきゃ駄目なんだけど。震災並みの大きな負担になっていくんじゃないかな」

 岡本製氷によりますと「今の状況では製氷機の減価償却にあてる資金が無くなり、工場を維持するのが難しくなる」ということです。政府には「減免制度を設けるなど電気代高騰への対策を早急に打ち出してほしい」としています。