6月に控えた定額減税は政府肝いりの物価高対策ですが、天引きの実務を担う企業側からは、負担の重さを指摘する声が上がっています。
仙台市若林区にある創業20年の人気ラーメン店は、濃厚なスープに極太の麺を添えたつけ麺が看板メニューです。
麺屋とがし冨樫達也社長「簡単に言えば面倒です。とにかく面倒なので、企業の生産性はかなり落ちている。もっとうまいやり方があるのかなと思っています」
言葉の裏には、政府が物価高対策として行う定額減税への対応があります。
定額減税は6月から1人当たり年間で所得税を3万円、住民税を1万円減税して減税を実感してもらおうと企業に対しては所得税の減税額を給与明細に明記するよう求めています。
岸田総理「負担が生じることは承知しているが、明記することが政策効果を国民の皆さんに周知徹底する周知して知っていただく、こういったことにおいて効果的である」
減税された従業員の所得税を計算して天引きし、給与明細への記載も求められる企業側の負担は決して軽くありません。
宮城県に6店舗を構えるこちらの店では、従業員約130人分の給与に経理担当が1人で対応しています。扶養する家族の数によって減税額が変わるため、従業員1人1人に確認しているところです。
麺屋とがし冨樫達也社長「定額給付が一番分かりやすくて手間も掛からないので良いと思っています。減税のアピールだけのために複雑にしているんじゃないかなと思いまして、本当に国民のことを考えて政策を打っているかは疑問に思います」
定額減税のうち住民税については、地方自治体が対応しています。
仙台市は5月に約4万5000の企業などに対し、住民税の納税通知書を発送しました。
会社員が受け取る納税通知書は、6月の住民税が0となり、いくら減税されたかも記載されています。
6月には、個人事業主や年金生活者ら向けの納税通知書を送る予定です。