7年ぶりにベトナムを訪問し、首脳らと会談したロシアのプーチン大統領。今回の訪問には、ベトナムの「ロシア離れ」を食い止めたい狙いがあったとみられます。

 首都・ハノイの街中には、ロシア製の軍事車両が何台も走っています。かつてベトナム軍が使っていたものを、ツアー会社が再利用し観光客を乗せているといいます。

大学生 「ベトナムとロシアはかつて同じ方向を向いていたので、今でも互いにとても密接な関係です」

 ベトナムには、ロシア製品の専門店がいくつもあります。

来店客 「ロシア製品が好きで来ました。他の店も行きます。私にとってロシアはいつも大切な存在です」

 ウクライナ侵攻後、ロシアへ旅行がしづらくなり、この店には多くの客が代わりに訪れるということです。

 ベトナム戦争でソ連から支援を受けたベトナムは、長年にわたりロシアと関係が深いとされています。

 しかし近年、この関係にも変化が生じてきました。

 ベトナムは軍事用品をロシアからの輸入に頼るなど軍事面でも重要な関係にありましたが、ロシアへの依存度を下げようとする動きが出てきました。

 さらに、ベトナムは安全保障や経済などの分野でアメリカとの連携を強め、去年、外交関係をロシアと同格に引き上げました。

 そうした状況下でのプーチン大統領のベトナム訪問。

 プーチン氏には「ロシア離れ」を食い止める狙いがあったとみられます。

 ベトナムの国営メディアで特派員としてロシアで長年取材をしてきたグェン氏は、制裁措置が続くなか、ロシアがベトナムとの関係を重視していると分析します。

国営メディア 元モスクワ特派員 グェン・ダン・ファット氏 「ロシアは西側諸国からの制裁のため困難な時期にありますが、ベトナムとの昔からの関係は強化しています。両国はすでに長期にわたる良好な関係があるため、ロシアにとっては新たに関係性を築く手間はありません」

 プーチン氏は今回、トー・ラム国家主席らと会談し、両国が関係を深めていくことで合意しました。

 「ロシアがベトナムとの協力関係を重視し、関係が着実に発展し続けることを強調する」としています。