致死率が3割とされる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者数が急増するなか、今年3月までの9カ月間で5人の妊産婦が亡くなっていたことが分かりました。

 日本産婦人科医会によりますと、新型コロナウイルスが5類に移行して以降の去年7月から今年3月までの9カ月間に5人の妊産婦が「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」で死亡したということです。

 国立感染症研究所によりますと、今年の国内の患者総数は6月30日までに1144人となっていて、これまで最多だった去年1年間の患者数941人を大きく上回るペースで推移しています。

 劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、最初は腕や足の痛みや腫れ、発熱、血圧の低下などから始まることが多く、その後、組織の壊死(えし)や呼吸状態の悪化、さらには肝不全・腎不全などの多臓器不全になり、場合によっては数時間で非常に急速に全身状態が悪化するということです。

 新型コロナの流行前も毎年、妊産婦が数人が死亡していましたが、コロナ禍ではマスクの着用や消毒などの感染予防もあり、劇症型溶血性レンサ球菌感染症での妊産婦の死亡例はありませんでした。

 日本産婦人科医会などは近日中に注意喚起のための要望書を日本医師会に提出する予定だということです。