副大統領候補・バンス上院議員(39)の演説からトランプ陣営の「したたかな戦略」が見えてきました。

■トランプ氏の前で「米国第一を推進」

 3日目を迎えたアメリカ共和党全国大会。正式に大統領候補に指名されたトランプ前大統領が姿を見せました。集まった共和党員から大歓声を浴びますが、この日は演説はしません。演説するのはトランプ前大統領によって副大統領候補に指名されたJ.D.バンス上院議員です。

 かつては反トランプでしたが、今は一変。トランプ支持の急先鋒(きゅうせんぽう)です。

共和党 副大統領候補 バンス上院議員 「この8年間、トランプ(前)大統領はアメリカ国民のために全力で戦ってきました。ペンシルベニアの大地でトランプ氏が立ち上がった時、全アメリカ国民も彼とともに立ち上がったのです。アメリカのために戦えということです。自分が最も危険な時さえ、彼の頭の中にあったのは私たちのことです」

 演説の前半でまずたっぷりとトランプ前大統領を賞賛し、副大統領候補の指名を受諾しました。

 そして、トランプ前大統領の副大統領候補らしさを見せ始めます。

共和党 副大統領候補 バンス上院議員 「私が(小学校)4年生の時、バイデンという職業政治家が悪い貿易協定を支持し、多くの仕事をメキシコに明け渡しました。高校2年の時にはまたバイデンが中国と甘い協定を結び、中産階級の製造業を破壊しました」

■「再び偉大に!」トランプ流アピール

 もちろん外国に対してもトランプ流です。

共和党 副大統領候補 バンス上院議員 「同盟国に世界の安全確保という重荷を分かち合うようにさせます。アメリカの納税者の寛容さを裏切る国にこれ以上“ただ乗り”はさせない!肌の色に関係なく私たちはアメリカ国民を第一に優先し、メイク・アメリカ・グレート・アゲイン!」

■演説にみるトランプ「したたか戦略」

外報部 中丸徹デスク 「今回のバンス氏の演説、大きな拍手で迎え入れられていて、トランプ氏が指名したバンス氏、共和党員からも迎え入れられている。そして、支持されているという印象を受けました。発言で気になったのは『アメリカファースト』『ビジネスファースト』『メイク・アメリカ・グレート・アゲイン』とも言いました。これはこれまでのトランプ氏の主張を繰り返す内容で、トランプ氏が昔のコアな支持者に対しても『あなたたちを忘れていない。今でもあなたたちの代表なんだ』というメッセージがあったと思います。選挙で勝つためにトランプ氏が中間層を取りに行くなかで、『コアな支持層』に対してはバンス氏が発信する。『中間層』に対してはトランプ氏が発信していく。役割分担をする可能性も感じた」