15日に開幕したアメリカ共和党の党大会。トランプ前大統領が銃撃後初めて公の場に姿を見せ、大統領選の正式候補に指名されました。そして、副大統領候補として、おととし初当選したばかりの39歳の上院議員を選びました。

■耳にガーゼ…その姿に会場大歓声

4年に1度行われる共和党大会。初日から共和党員のボルテージはとても高いものでした。

共和党員 「トランプ氏は、祖父であり父親であり男性であり魂を持った人間です。私たちのために尽くしてくれた彼を容疑者は殺そうとしたんです。だからこそ一丸となって彼を支えていくことが楽しみです」 場内アナウンス 「彼は今夜、こうして勇気と命を狙った者に対する抵抗を示しています。彼を倒せる者はいません」

耳には大きなガーゼ。少し歩くだけで、場内は一気に支持者集会のような雰囲気になっていきます。

場内アナウンス 「第45代アメリカ大統領。そしてまもなく第47代大統領になります。ドナルド.J.トランプです」

■副大統領候補は元“反トランプ”

この日、トランプ氏が話すことはありませんでした。ただ、別のプログラムで会場が湧きました。初お披露目となった共和党の副大統領候補者。オハイオ州選出のJ.D.バンス上院議員(39)です。海兵隊員としてイラクに行った後、イエール大学ロースクールを卒業。ベンチャーキャピタル会社の社長を務める一方、作家としてもデビューしていて、白人労働階級の悲哀を描いた自叙伝『ヒルビリー・エレジー』は映画化もされました。

2016年、トランプ氏が初出馬の頃は…。

バンス氏(2016年) 「トランプには腹が立つ。彼は有害で、白人の労働者階級を非常に暗い場所に導いている」

しかしその後、自身が上院選に出ると、トランプ氏の支援を受けて初当選。

今では、例えばウクライナ支援については…。

バンス上院議員 「アメリカ国民が負担を強いられている。これは公平とは言えません」

副大統領候補への選出は、忠誠心が決め手になったとも言われています。

■バンス氏は「バイデン氏への攻撃役」

トランプ氏の元補佐官 「副大統領候補は“かみつき役”、大統領候補は“団結を生む存在”です。有権者はトランプ氏が“丸くなったか”見極めています。バンス氏が声高にバイデン氏を批判することで、トランプ氏が新しい有権者に訴えかける機会にもなり得ます」

トランプ氏と共和党には今、追い風が吹いています。

政治専門誌『The Hill』 「暗殺未遂事件の影響はない。トランプ氏を中心に結束している共和党は絶好のポジションにいる」

■逆風の民主党「反応が冷たい」

一方の民主党…。

バイデン大統領 「その言葉は間違いだった。『標的』にするとは言っていない。彼に焦点を当てる。彼の政策に焦点を当てるという意味だ」

バイデン大統領が先週、献金者との私的な会話の中で「トランプ氏を標的にする時が来た」と発言していました。それが事件を誘発したのではと批判されています。

NBC レスター・ホルト記者 「偏りのある有権者をあおったかもしれないという反省は?」 バイデン大統領 「トランプ氏の言動で民主主義が脅かされているのに、あおり立てたくないからと何も言わないのは違う。そもそも、そのような文脈で発言した覚えはない」

今は何を言ってもやっても吹くのは逆風です。

民主党員 バードさん(70) 「投票先を決めていますか?」 有権者 「まだ分からないけど、神の導きを待っています。とにかく祈っています」

共和党大会が行われているウィスコンシン州はスイングステートになります。大統領選で勝つためには、ここの無党派層を取り込まなければなりません。しかし…。

有権者 「間に合っています」

民主党員 バードさん 「きょうはいつもより反応が冷たいみたいです。訪問を始めて1時間ぐらいですが、ここまでの門前払いは初めてです」

話を聞いてもらえなければ、支持を広げるのは不可能です。

民主党員 バードさん 「話し合うことができなければ、国民のための法律は作れません。民主党・共和党に関係なく、相手の話を聞かない風潮に不安を感じます」