激しい雷雨、そして、凄まじい突風が首都圏を襲いました。埼玉県では竜巻などの激しい突風が発生したとみられ、被害が相次ぎました。

■“ゲリラ雷雨”で街が一変

とどろいく雷鳴と空には暗雲。ものの数分のうちに、数メートル先もかすむほどの雨と風が襲ってきました。傘に身を寄せ合う人もいれば、もはや受け入れて諦める人、軒下で様子を見る人も。打ち付ける雨風を前にしては、その場にとどまるだけで精一杯です。

雨は電車の中にまで迫ります。停車した数秒の間にドアから吹き込んだ雨で車内には水たまりができていました。激しい雨に加えて、あちらこちらで落雷も観測されました。

正午前に横浜市から撮影した映像では、発達した積乱雲が、天井にぶつかるように横に広がっていく様子が確認できます。上部が平らになった形から“かなとこ雲”と呼ばれ、雷雨をもたらす“危険な雲”とされています。ほどなくして、都内の上空は黒い雲に覆われました。

■“ダウンバースト”などの突風か

こうした雲の下で発生しやすいのが、強い下降気流“ダウンバースト”です。埼玉県では、強風による被害が相次ぎました。志木市のゴルフ練習場では、強風により支柱が倒壊しました。

近くの住民 「手すりにつかまっていないと立っていられない強い風。雷が鳴り始めたと思ったら、風と雨で一面がグレー。周りが全然見えない状態になった」

ゴルフ練習場からすぐ近くの住宅にも被害が出ていました。

近くの住民 「ゴルフ場の破片が飛んできて。下に石が落っこちている」

現時点でけが人は確認されていません。

■ビルから看板が落下…歩行者を直撃

川口駅前では、ビルの2階部分に設置されていた看板が、壁からすべて剥がれ落ちました。落下した看板は歩行者の男性(60代)を直撃し、男性は病院に搬送されました。

救助した人 「ぼーんとすごい音。雷に打たれたのかなと思って、とりあえず様子見に行って。人が下敷きになったと。みんなで持ち上げようとしたが、重くて持ち上げられなくて、すぐ110番した」

■各地で“倒木”道をふさぐ

強風による倒木も相次ぎました。埼玉大学では、キャンパス内にある高さ15メートルを超えるケヤキの木が倒れました。

学生 「窓がガタガタって外れかけるような感じだったので。建物こわれるんじゃないかと。そこから木がざざざって倒れてきて、葉が擦れて窓が破れそうだった。もし外にいれば命なかったんじゃないかなと」

鶴ケ島市では、倒木で道路が通行止めとなりました。根元のアスファルトには大きな亀裂が走り、吹きつけた風の強さを物語ります。

倒木は都内でも。小金井市では、幹の太い木が根こそぎ持っていかれるようにして倒れていました。

豊島区で撮影された写真には、巨大な雨柱が迫ってくる様子が映っています。雨と風が過ぎ去った後に残されたのは…。

石岡円ディレクター 「ビルの工事用の足場がはがれかかっています。ビルの下では消防車両が集まり作業が進められています」

男性 「ここに立っているのがすごく怖い。もし倒れて横の建物に当たった場合恐ろしい」

■台風3号が影響警戒続く

列島を襲った不安定な天気。原因は、連日の猛暑をもたらしている太平洋高気圧の縁に沿って、湿った空気が流れ込んだことです。そして、列島の南にある台風3号も影響しています。

台風3号が接近した沖縄県の石垣島。

延増惇ディレクター 「強烈な風が横から吹き付けていて、雨が上からではなく横から降っている感じです。すごい勢いです」

観光客も青い海はおあずけに…。

東京から来た観光客 「ホテルにいるのが嫌になり、旅行に行きたくなくなる」

週末にかけても暖かく湿った空気が流れ込み、大気が不安定な状態が続きます。