岸田総理大臣が、来月の自民党総裁選挙に立候補せず、退任する意向を明らかにしました。賃金の引上げなどで一定の実績を残す一方、政治とカネという自民党にはびこる“持病”にメスを入れることはできませんでした。来月の総裁選は、自民党が再生できるかどうかの試練となります。

総裁選はどのような顔ぶれになるのでしょうか。藤川みな代政治部長に聞きます。

“ポスト岸田”と言われているのは、総裁選の出馬経験がある石破元幹事長(67)や、河野デジタル大臣(61)、高市経済安保担当大臣(63)。他にも茂木幹事長(68)、上川外務大臣(71)。中堅・若手議員からは小泉元環境大臣(43)や小林前経済安保担当大臣(49)といった面々になります。

20人集まったらということですが、今の段階で立候補を明言しているのは石破元幹事長だけです。

(Q.総裁選のポイントはどこですか)

藤川みな代政治部長 「今回、自民党内で重視されているのが『刷新感』です。誰なら1番、刷新感が出せるかがポイントになります。その一方で『安定感』がある人。今後、アメリカの大統領選などもあります。厳しさを増していく国際情勢や経済情勢に対応できるのは誰なのか。刷新感と安定感のバランスが問われます」

(Q.刷新感と安定感をポスト岸田の面々にあてはめると、どうなりますか)

藤川みな代政治部長 「刷新感を前面に出すのであれば小泉元環境大臣や小林前経済安保担当大臣。安定感という面では茂木幹事長の名前が出てくると思います。ただ今回は、政治とカネの逆風で政治への不信感は根強いものがあります。刷新と安定のバランスを見た時に、刷新の方に振れる可能性はあります」

(Q.今回は派閥が解消されて初めて経験する総裁選となります。どういった動きが予想さますか)

藤川みな代政治部長 「麻生副総裁や森元総理、二階元幹事長といった長老支配の影が見えたり、かつての派閥の影が見えると、刷新感の妨げになります。立候補しようとする人は、旧態依然とした色がつかないように準備をするとみられます。一方で、選ぶ議員は今回、ほとんどの派閥が解消されているので、応援したい人を自由に応援できる環境です。誰が“選挙の顔”になるのか。自分の選挙に有利な人を選ぶ傾向が露骨になるのではないかと思います」

(Q.いかにも選挙に勝てそうな人を選ぶと、国民が自民党の足もとを見てしまう気がしますが、いかがですか)

藤川みな代政治部長 「総裁の顔を変えるのは、自民党がこれまでやってきた手法です。党内で疑似的に政権交代を起こすことで、政権を維持し続ける。その最たる例が2001年。小泉純一郎さんが『自民党をぶっこわす』と言って、総裁選で圧勝。その後の参院選挙でも勝利しました。自民党が今回もそういった手法を取るのか。総裁の顔だけではなく、党の中身が変わっていくのかどうかを見ていかなくてはいけません」

(Q.自民党そのものが問われている局面にも思われますが、いかがですか)

藤川みな代政治部長 「本質的に党が変わっていくのかどうか。政治の在り方をもう一度考え直すことができるのかどうか。顔の変化ではなく、中身の変化を誰なら期待できるのかになると思います」