100万ドルの夜景が見えない。観光客殺到で北海道函館市が悲鳴です。

 函館山の展望台は日没前から…。

警備員 「立ち止まらないようにお願いします」

 ここで日が暮れるのを待とうというのでしょうか。皆さんはスマートフォンに目を落とし、景色を見ている様子はありません。

 山頂までの道のりもロープウェーは、まるで通勤列車のような混み具合。

 いよいよ日が暮れてくると…。

 肉眼で夜景は見えたのでしょうか。折り重なるようにして皆さん、スマホを持った手を伸ばしています。

岩手から来た人 「(Q.夜景は見られた?)人がすごすぎて見られなかった。こんなに多いと思わなくて。もうちょっとゆっくり見られると思った」

東京から来た人 「びっくりしました。長くいられないですよね」

山口から来た人 「疲れました」 「想像以上です」

 夜が更けても…。

 ロープウェーの営業時間まで残りわずか1時間ですが、建物の外には通りこして長い行列ができています。

 混雑はロープウェーだけではありません。

 函館山へ向かうバスの乗り場です。すごい人の列ができています。この数はバスが1台来たところでさばき切れません。

 函館市の観光客は昨年度、約530万人を数えました。

 人口は24万人なので、22倍以上の人が外から押し寄せたことになります。

函館市民 「(Q.観光客が多くて乗れないことは?)たまにありますね」

 困るのは市民だけではありません。

青森から来た人 「乗りたいんですけど、すごい混んでいるので乗れるかな、ベビーカーもあるし」

 小さな子どもを連れた観光客。行列に並んでみたものの…。

青森から来た人 「残念でした。いっぱいで、ちょっとさすがに子ども2人とベビーカーとキャリーケース抱えては今の状態では」

 観光客にとっても好ましくないオーバーツーリズム。市も対策に乗り出しました。

ガイド 「テレビのドラマ、映画のロケで函館といったらこの景色が出てくる」

 市が実験的に始めた「ゆったり夜景とヨルメグリ」。

 函館山が最も混雑する午後8時までの時間帯について、観光客を別の名所旧跡に誘導しようというものです。

函館市・大泉潤市長 「観光客の選択肢を広げながら、最適化をしながら、過度な集中が避けられるような、市民生活に悪影響が出ないような、そういったことに取り組んでいきたいと思う」