アメリカのトランプ大統領が「南アフリカへのすべての援助を止める」と自身のSNSに投稿しました。7日には経済援助や支援を停止する大統領令に署名しています。

 トランプ大統領は9日の投稿で「南アフリカは土地を没収し、特定の階級の人にとてもひどい扱いをしている」「重大な人権侵害が起きている」と主張しました。

 南アフリカは先月、国が土地を公共の目的で収用しやすくなる法律を制定しました。

 アパルトヘイト(人種隔離政策)の時代から白人と黒人の格差が問題になっていて、少数派の白人から土地を取り上げることが狙いだという指摘も出ています。

 トランプ大統領は今月7日に南アフリカへの経済援助や支援を停止する大統領令に署名しました。

 そのなかで、人種差別で財産を奪われるヨーロッパ系難民のアメリカへの受け入れを進めるとしています。

 南アフリカがイスラエルのパレスチナガザ地区への攻撃を集団虐殺として国際刑事裁判所に提訴し、イランとの関係を深めていることも援助停止の理由として挙げました。

 AP通信によりますと、南アフリカ政府は新しい法律でも個人の所有権は保護されていて、トランプ大統領の表現は誤解と曲解が含まれていると反論しているということです。

 トランプ政権は南アフリカに対して強硬な姿勢を取り続けていて、ルビオ国務長官は20日から南アフリカで開催されるG20外相会談を欠席するとすでに表明しています。

 「政府効率化省」のトップで南アフリカ出身のイーロン・マスク氏は、南アフリカ政府の政策が「反白人的だ」と繰り返し主張していて、海外支援などを担当する「アメリカ国際開発庁」を閉鎖する方針を打ち出しています。