イスラエル軍に殺害されたイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の前最高指導者・ナスララ師の葬儀がレバノンで執り行われました。

 レバノンの首都ベイルートで23日に実施された葬儀には、ヒズボラの後ろ盾であるイランなど合わせて79カ国から高官らが参列しました。

 地元メディアによりますと、会場やその周辺には140万人の弔問客が集まり、ナスララ師の遺体を納めた棺(ひつぎ)はヒズボラが拠点とするベイルート南部のダヒエにある墓まで運ばれて埋葬されることになっています。

 現在の最高指導者・カセム師は演説で「レバノンの歴史上でこれだけの群衆は見たことがなく、忠誠心の表われだ」と述べました。

 そのうえで、「私たちは抵抗の姿勢を放棄しない」と強調しました。

 敵対するイスラエルとの攻防で弱体化したヒズボラにとっては、大規模な葬儀によって中東での存在感を誇示する狙いがあるとみられます。

 ナスララ師は30年以上にわたってイスラエルとの戦闘などを指揮し、中東ではカリスマ的な存在でした。

 2023年10月にガザ地区での衝突が始まって以降は、イスラム組織「ハマス」と連帯して戦ってきました。

 しかし、去年9月にイスラエル軍の大規模な空爆を受けて死亡しています。

 その後、ヒズボラとイスラエルの間では停戦が成立しましたが、イスラエル軍は当初の条件を変更してレバノン南部の5カ所に今も駐留を続けています。

 そのレバノン南部では23日もヒズボラが武器を隠し持つ軍事施設を標的にしたとするイスラエル軍の空爆が起きていて、停戦合意が守られるかは不安定な状況です。