虐待の疑いがある子どもを一時保護するかどうかの判断の指標にするために約10億円をかけて開発されたAI(人工知能)システムについて、こども家庭庁は2024年度の導入の見送りを決めました。

 こども家庭庁は2021年度から業務の効率化や質の向上を目指し、虐待の疑いがある子どもを一時保護するかどうかの指標の一つとしてAIを活用したシステムの開発を行ってきました。

 試作されたシステムで過去100件の実例を検証したところ、児童相談所の幹部の判断とAIの判定に差が出たものが6割にも上ったということです。

 なかには暴行を受けた子どもについて、実際には「直ちに一時保護すべき」と判断されたにもかかわらず、AIシステムは暴行の跡が「あざとして残らなかった」などの理由で虐待の可能性を著しく低く見積もった判定をしたということです。

 こども家庭庁は目指していた2024年度の全国導入は延期し、AIの技術の開発動向を見ながら今後の活用方法についても検討していくとしています。