仙台市中心部でカモシカの目撃が相次いでいます。専門家は二ホンジカが増えたことでカモシカの餌が減り、生息地を失っている可能性を指摘しています。
8月5日午前5時半ごろに仙台駅東口で撮影された1枚の写真。ビルの脇に写っているのは1頭のカモシカです。警察官が駆け付けたところ逃げていったと言います。
この日カモシカは別の場所でも目撃されました。
中津川夏帆記者「交通量が多い東二番丁通の脇道で、一頭の小さなカモシカが目撃されたということです。カモシカは奥から手前に向かって走ってきたということです」
この日目撃されたのは合わせて3カ所で、いずれも仙台駅から近い中心部です。
体長は1メートルほどで、いずれも同一の個体とみられています。
7月4日には、若林区石名坂で車道にはみ出して走るカモシカの様子をドライブレコーダーが捉えていました。
また5月には宮城野区高砂のマンションの駐輪場にカモシカが逃げ込み、その後市の職員に捕獲されています。
相次ぐ中心部でのカモシカの目撃。野生動物の生態に詳しい専門家は、二ホンジカが増えたことでカモシカの餌が減り、生息地が奪われた可能性を指摘します。
森林総合研究所東北支所高橋裕史さん「シカは植物であればかなり幅広く食べることができるので環境を改変してしまう。そのためカモシカの生息地としては適さなくなって(市街地に)カモシカが押し出されてくるという状況が西日本では報告があります」
高橋さんによると、カモシカの餌がニホンジカによって食べられる現象は宮城県内でも確認されているということです。
森林総合研究所東北支所高橋裕史さん「牡鹿半島でも林の草がなくなっているため、(東北でも)そういった状況が生じているのではないか」
カモシカは基本的に人に危害を加えることはありません。仙台市では、見かけても近づいたり驚かしたりはせず静かに立ち去ってほしいと話しています。