旧優生保護法の下、不妊手術を強制された人たちが国に賠償を求めている一連の裁判について、最高裁大法廷が統一判断を示す見通しになりました。各地の裁判で判断が分かれている賠償を請求する権利があるかどうかが焦点の1つですが、原告は高齢化が進んでいて弁護団の共同代表は問題の早期解決を求めています。
旧優生保護法をめぐっては、障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが国に損害賠償を求める裁判を宮城県を始め全国で起こしています。
最高裁はこれらのうち仙台や札幌などの高裁で判決が出され上告されていた5件について、15人の裁判官全員が参加する大法廷で審理することを決めました。
5件のうち4件は高裁が国に賠償を命じていますが、仙台高裁のみ不法行為から20年が経つと賠償を求める権利が無くなる除斥期間を適用して原告の訴えを退けるなど、判断が分かれています。
統一判断では除斥期間の適用について、どのような見解が下されるかが注目されています。
一連の訴訟の弁護団で共同代表を努める新里宏二弁護士も、最高裁の大法廷が示す判断に期待を寄せています。
新里宏二弁護士「最高裁の大法廷で判断されるということですから、今回も旧優生保護法が違憲であるかどうかの判断、過去の除斥期間の適用制限のところの基準について新しい判断が出るのではないかと考えています」
一方、原告のほとんどが70代以上と高齢化が進んでいることもあり、新里弁護士は早期の問題解決が必要だと訴えます。
新里宏二弁護士「38名の提訴された方のうち5名が亡くなっていますけど、全体解決を図っていく。更に言えばその後ろにいる2万5000人と言われる被害者の救済、それについては政治が率先して解決しなければならない」