難病のＡＬＳの女性患者を本人からの依頼を受け殺害した罪などに問われた仙台市の医師の初公判が京都地裁で開かれ、医師は「女性の願いをかなえるため」と述べ、弁護側は無罪を主張しました。

　仙台市の医師、大久保愉一被告（４５）は２０１９年、元医師の山本直樹被告（４６）と共謀し京都市に住んでいたＡＬＳ患者の女性（当時５１歳）から依頼を受け、薬物を投与して殺害した嘱託殺人の罪などに問われています。

　京都地裁で始まった裁判で、大久保被告は嘱託殺人罪について「女性の願いをかなえるために行った」と起訴内容を認めました。

　一方、弁護側は「嘱託殺人罪で処罰するのは、憲法に反する」と無罪を主張しました。　検察側は冒頭陳述で、大久保被告は「１３０万円の報酬を女性に振り込ませ、詳しい検査などもせずに短時間で殺害した。正当な医療行為に当たらない」と主張しました。

　これに対し弁護側は「女性はＡＬＳの末期で、眼球とまぶたしか動かせず寝たきりの状態で死にたいと願っていた。正当な医療行為で刑事責任には問われない」と主張しました。

　大久保被告は山本被告らと共謀の上、２０１１年に山本被告の父親を殺害した罪については「私はやっておりません」と起訴内容を否認しました。

　判決は３月５日に言い渡される予定です。