宮城県南三陸町の旧防災対策庁舎を町が保存していくに当たり、今後の活用方法について町民の考えを聞く意見交換会が開催されました。

 津波で43人が犠牲になった旧防災対策庁舎について、佐藤仁町長は7月に所有権を宮城県から南三陸町に戻し震災遺構として保存する方針を発表しています。

 24日に開催された意見交換会には町民約70人が参加し、震災の伝承や防災教育に庁舎をどのように活用するか意見を交わしました。

 「あの建物で生き残った皆さんが何を見聞きしたのか、ご遺族の皆さんの思いはあの建物を眺めただけでは伝わり切らない。それは人の言葉、語りがあって初めて伝わるものだと思う」「庁舎がピックアップされると、どうしてもその他の色々な方の話やストーリーが埋もれてしまいがちになる」

 佐藤仁町長「様々な場所で様々なストーリーがあった。それをしっかり後世につないでいく。1つのシンボル、1つの施設なんだろうと」

 発言者の多くが保存に理解を示す一方、町有化はあまりに不意打ちではないか、庁舎は既に被災した当時の姿をとどめていないと反対する意見もありました。

 佐藤仁町長「皆さん方から町の思いは受け止めていただいたものかなと私は受け止めております。津波の脅威、高さ、こういうものが来るんだということをまず子どもたちにしっかり学習していただきたい」

 町は、今後も町民の要望に応じて意見を聞く機会を設けたいとしています。