斎藤知事に対する証人尋問が行われている兵庫県の百条委員会。元副知事は告発文を巡る対応で調査するよう知事に進言したと言いますが、斎藤知事は「記憶にない」と真っ向から食い違っています。

■“おねだり疑惑”兵庫知事どう釈明?

 兵庫県・斎藤知事の百条委員会、2度目の証人尋問。

兵庫県 斎藤元彦知事 「道義的責任というものが何か分からないので明確にコメントできませんけど、今の県政の状況を招いているということについては県民の皆さんに深くおわびは申し上げたい」

 県の職員のアンケートで浮上した数々のおねだり疑惑に知事はどう答えたのでしょうか。

県職員のアンケートから 「贈答品がないと機嫌が悪くなる」 「欲しい贈答品がもらえる所を視察先に選んでいる」

 例えば、高級自転車。ロードバイクに乗ってヘルメット着用などをPRする斎藤知事。その見返りとして、県が自転車販売会社からロードバイクを受け取ったのではという疑惑が指摘されました。

県職員のアンケートから 「知事が当該企業に2台欲しいと伝えたが、企業が2台は勘弁してほしいと言い、1台になった」

 県は贈答ではなく貸し出されたものだとしています。

 こんな回答もありました。

県職員のアンケートから 「革製品の生産現場で40万円相当の革ジャンを試着して、『これはいい、もらえないか』と知事がおねだり」

 ただ、あまりにも高額なため無償で提供できないと諭されたそうです。

斎藤元彦知事 「革ジャンなどを展示されていたので、それを試着させていただいて、いつかPRに使いたいねと話し、県庁で一度、試着させていただきました」

 雪不足に苦しむスキー場を視察をした時には…。

県職員のアンケートから 「スキーウェアを『持って帰れないか』とせがんだ」

 廃校を視察した時には木製のサイドテーブルやいすといった家具をおねだりした話も…。

斎藤元彦知事 「(Q.椅子とサイドテーブル、お認めになっていますが、知事応接室に置かれている、事実でしょうか?)はい」

 おにぎりを眺めて、ほおばる知事。この視察の時と思われる告発も…。    県職員のアンケートから 「おにぎりを所望。急きょ、ご飯を炊いて、おにぎりを作ってもらった」

 さらに、有機農園を視察した時には人参ジュースを知事が欲しいと言い、公用車で1箱持ち帰ったといいます。

 また、酒造メーカーのお祭りでは日本酒を15本以上、持ち帰ったとの回答もありました。

斎藤元彦知事 「(Q.日本酒?)各ブースを回った時に『ぜひ飲んで下さい』と…」

 「独り占め」疑惑もあります。

県職員のアンケートから 「視察に行った際、カニのお土産が提供され、職員はもらえないと断ったが、『いらないのなら私がいただく』と職員の分まで持って帰ったと聞いた」 「視察先の関係者は、カニ目当てで来るのでもう来ないでほしいと言っている」

県職員のアンケートから(伝聞) 「カキの養殖業者からカキをもらった際も独り占めして、全部、自宅に運ばせる」

斎藤元彦知事 「(Q.よく出てくるカキは?)カキ加工場を視察して、食事をさせていただいた帰りに提供いただいた」 「(Q.職員の分まで持ち帰ったと言われるカニは?)視察に行ってカニのPRを消費振興でやった時に、組合長から持って帰ってと…」

■「記憶にない」元副知事と“食い違い”も

 もう一つの焦点が、知事のパワハラなどを告発した文書を作成した元局長を公益通報の保護対象とせず、懲戒処分にした経緯についてです。

 斎藤知事を告発した元西播磨県民局長は3月、告発文を報道機関や県議会議員に送りました。これに対して斎藤知事は…。

斎藤元彦知事 「業務時間中なのに嘘八百含めて文書を作って流す行為は公務員として失格」 「やはり文書の内容が私自身も事実ではないことが含まれていると感じましたし、その場でいくつかの項目について片山副知事に聞いても『違います』ということでしたので、誰がこの文書を作成したということ、なぜ作成したのかという意図などをしっかり事案として把握することが大事だと指示しました」

 元局長は翌4月、県に対して公益通報を行います。ところが、県は「真実相当性がない」として公益通報としては扱いませんでした。元局長は停職3カ月の懲戒処分となり、その後、死亡しました。自殺とみられています。

 委員会に出席した弁護士は、告発文書に公益通報が含まれていると知事を批判しました。

 なぜ、知事は公益通報と認めなかったのでしょうか?

斎藤元彦知事 「文章の内容は誹謗(ひぼう)中傷性の高い文章。噂話を集めて作成したということで、公益通報に該当すると思っていない」 「(Q.告発者を保護できていない兵庫県の手続きに瑕疵(かし)があるのでは?)ありません」 「(Q.全くないのか?)はい。これまで懲戒処分に関することは弁護士、法的にも問題ないとやってきていますから手続き等に瑕疵はないと考えます。県が行政機関としてやっている。手続きを含めて法的な観点が大事。県として訴訟にも耐えられる形でやっているので、そこに法的な問題はないと認識している。県、知事としての対応は問題なかった」

 また、告発文について片山元副知事が第三者機関での調査を知事に進言を否定されたと証言しましたが…。

斎藤元彦知事 「第三者委員会の協議をした記憶はない。積極的に彼らがやりたいという話でもなかった。人事課の調査で十分だと」

 知事は協議を否定しました。