パワハラ疑惑などの告発文書をめぐり、兵庫県の斎藤知事が6日、百条委員会で2回目の証人尋問に臨みました。

■告発者の処分「法的問題ない」

なぜ告発者は守られなかったのか。処分に至る経緯が問われました。

兵庫県 斎藤元彦知事 「(Q.一連の県の対応手続きに道義的責任は?)訴訟にも耐えるかたちでやっていますから、そこに法的な問題はないと私は認識していますので。県、知事としての対応は問題なかった」

ただ、6日も公益通報の専門家からは法令違反との指摘がありました。文書がマスコミなど10カ所に送られているので外部公益通報にあたるという考え方です。

公益通報に詳しい 山口利昭弁護士 「文書の存在を知った直後に『誰が書いたのか?』と『誰がどんな目的で書いたのか?』というのはあり得ない話。法令違反ですね明らかに」

兵庫県 斎藤元彦知事 「(Q.兵庫県の手続きとして瑕疵(かし)がある、違法であると私は思う。知事はそういった認識は今でもない)ありません。(Q.全くないですか)はい。(Q.外部通報には全くあたらない)そうですね」

斎藤知事が告発文書の存在を把握した翌日。側近幹部4人と協議し、公用メール1年分の調査を指示するなど事実上の“告発人捜し”が始まりました。

兵庫県 斎藤元彦知事 「誹謗(ひぼう)中傷性の高い文書だと思っていましたので、作成した人を内容の意図含め聴取をすることは問題ない」

■“噂話集めたもの”判断の根拠は

告発者の特定を指揮したのが県政の混乱の責任を取って7月末に辞職した片山前副知事でした。片山前副知事は自ら西播磨県民局を訪れて、元局長を聴取しています。

番組は当時の聴取記録を入手しました。

聴取記録(3月25日)

片山前副知事 「いろいろメールの中で名前出てきた者は、皆在職しとるということだけ、忘れんとってくれよな。皆嫌疑をかけてやるということやから。まぁ、手始めに職員Aあたり危ないと思うとんやけどな」

兵庫県 斎藤元彦知事 「(Q.人事権をちらつかせて脅しともみられる文言。適正な事情聴取の仕方と思うか)言い方とか表現は強い言葉だった。ある方への人事についてほのめかしたということも、適切かどうかは私は判断できないが、その方も関与の可能性があるなかで一定の可能性を述べたもの」

これまでの百条委員会では、元局長が公益通報窓口に通報した後、知事は側近を通じて「公益通報の調査結果を待たずに処分できないか」と人事当局に打診したとの証言が出ています。しかし知事は…。

兵庫県 斎藤元彦知事 「私がそういった指示をした記憶はない。記憶上、指示はしてない。(Q.記憶上、指示はしていない)認識では指示をしていないと思う」

そして5月7日、元局長を停職3カ月の懲戒処分にしました。告発を公益通報として扱わなかった理由について、知事はこう話しました。

兵庫県 斎藤元彦知事 「真実相当性がない理由が2つあって。1つは“客観的な証拠や信用性の高い供述”。もう1点は“噂話を集めたもの”」

文書を“噂話を集めたもの”と判断した根拠は…。

兵庫県 斎藤元彦知事 「核心的なものは、元局長から職員局長に電話で話があってやり取りをされている」

聴取記録(3月25日) 職員局長 「あの内容(情報)を1人で入手できないのでは」 元局長 「噂話はあちこちにあるやん。それを集めたんやけど」

ただ、このやり取りには続きがあります。

聴取記録(3月25日) 職員局長 「内容が詳細なんですが、特に産労とか関係者しか知り得ない情報が入っているのは」 元局長 「巷で結構情報が流れとるけどな」 職員局長 「とても1人でやったとは思えない。あそこまでの内容を1人で書けないというのが我々の見立てですが、実際そうですよね」 元局長 「そうかなぁ」

文書に記された告発内容について、職員局長は「関係者しか知り得ない情報」とも話していました。

今後の焦点は県議会の動きです。自民党の議員団は辞職の申し入れを今月12日に行うと決めました。また、維新はこの週末にも判断するとしています。

知事に辞める気は全くありません。

兵庫県 斎藤元彦知事 「自分の考えをできるだけ伝えて、1人でも多くの県民の皆さまにご理解いただけるようになればいい。これからもしっかり続けていく」