自民党総裁選挙をめぐり、出馬を模索してきた上川陽子外務大臣(71)が、推薦人20人の確保にめどがついたことを明らかにしました。11日に出馬会見を行います。

上川陽子外務大臣 「20名、推薦人が集まり、12日に今回の総裁選に立候補することができます」

過去最多の顔ぶれで争われる自民党総裁選。告示を前に、10日は、政策発表が相次ぎました。

出馬表明が最も早かった小林鷹之前経済安保担当大臣(49)が、一番に打ち出したのは、裏金問題で揺らぐ党の改革です。政策活動費の毎年公開または廃止。そして、旧文通費の使途公開と残金の返納を訴えました。当初主張していた「政策活動費の透明化」を、一歩、進めた格好です。

小林鷹之衆議院議員 「(Q.この3週間でトーンを強めた理由・狙いはあるか。どういう場合に(政策活動費は)毎年公開になるのか。どうなったら廃止となるのか)基本的には、まず公開。政治資金というのは、公開が原則だと私は思っています。だから、毎年公開としているんですが、仮に公開できないものがあるとすれば、いっそのこと、そういったものは、国民の皆さんとの関係で、廃止すべきだろう」

党から議員に配られて、使い道を明かす必要のない政策活動費。これを廃止するという主張は、先週会見した小泉進次郎元環境大臣(43)や茂木敏充幹事長(68)と共通します。

同じく10日に政策発表会見を行った林芳正官房長官(63)は、政策活動費の廃止論には、慎重な姿勢です。

林芳正官房長官 「国会であれだけの議論をして、10年後、公開ということが決まった。これがもうなかったかのように、突然『やめる』ということは、いかがなものかなという印象は持っております」

そのうえで、法改正時の付則で、10年後とした領収書の公開時期を前倒すべきとしました。

10日、正式に立候補を表明した加藤勝信元官房長官(68)。

加藤勝信元官房長官 「まず、自民党として、不記載相当額について、国庫に返納する手続きを検討すべきと考えています」

不記載額を国に納める手続きを党で検討するべきという主張は、すでに出馬表明した河野太郎デジタル大臣(61)に近い意見です。

5度目の出馬となる石破茂元幹事長(67)の考えです。

石破茂元幹事長 「(Q.政治資金規正法含め、具体的にどのような改革を)ものがものだけに、自民党だけで決めるというわけにもなりません。野党の主張を一方的に聞くという話にもなりません。あくまで主権者の立場に立って、どのように透明性が確保されるかを具体的に策定してまいります」

論点はもう一つ。小泉氏が、1年以内に法案提出すると打ち出した“選択的夫婦別姓”をめぐる問題です。

9日に立候補を表明した高市早苗経済安保担当大臣は(63)、“別姓制度”ではなく、旧姓をビジネスネームとして使える“通称使用”の拡大で対処すべきとするなど、自民党内でも、意見が分かれている状態です。

高市早苗経済安保担当大臣(9日) 「できるだけ多くの方が不便を感じない。その第一歩となる法律を、まず成立させたい。そこで、まだ残る問題点があるんであれば、そこからまた議論をしなければならない」

石破茂元幹事長 「(Q.選択夫婦別姓に関してどれぐらいのスピード感を持っている)私は、かねてより個人的には、このことに積極的な姿勢を持っています。しかしながら、わが党において、いろんな議論がございますので、総裁として、いついつまでにということは断ずることは致しません」

小林鷹之前経済安保担当大臣 「兄弟姉妹の間で、姓が異なるということも、家庭によっては考えられる。それに対して子どもはどう感じるのか。あるいは、子どもに選択権はあるのか。期限を区切って結論を、ある意味、強引に出すということは、私は違うと思っています」

◆12日に告示される自民党総裁選を前に、各候補の主張が出揃ってきました。   まずは、岸田政権が支持を失う大きな要因となった『政治とカネ』の問題、なかでも“政策活動費”の問題です。     政策活動費は、政党が議員に支出する政治資金で、公開義務がなく、領収書がいらないお金でした。6月の法改正で、10年後の公開が盛り込まれましたが、具体的な公開方法などは先送りされました。

ところが一転、この政策活動費の廃止を掲げているのが小泉氏・茂木氏。高市氏もBSの番組の中で廃止を明言しています。

一方、小林氏は、毎年公開、それができなければ廃止。石破氏は、できる限り公開、廃止も一つの考え方ということです。 河野氏、加藤氏は公開を主張していますが、林氏は10年後公開となっている時期を前倒しすべきだと主張しています。

次に、選択的夫婦別姓の導入について、最も前向きなのが、国会提出と採決を明言している小泉氏です。石破氏は「個人的には積極的な姿勢」、河野氏は「認めたほうがいいい」などと発言しています。   一方で、慎重な立場の方からは“旧姓の通称使用”を拡大すべきとの声が聞かれます。

旧姓の通称使用とは、届出があれば、旧姓の併記をさまざまな団体に法的に義務付ける動きで、国内では使用できる場面が拡大しているということです。

高市氏、小林氏、加藤氏は、“旧姓の通称使用”拡大を訴えています。