宮城県が導入を目指す宿泊税をめぐり、県議会の代表質問では導入への異論が相次ぎました。村井知事は、訪日客の獲得競争で後れを取る懸念を強調しました。

 みやぎ県民の声遊佐美由紀県議「具体的な計画、宿泊事業者、住民の合意形成がなされないままに宿泊税を提案していることから、宿泊税については9月定例会、提案を取り下げることを再度求めます」

 県議会の代表質問では、県が提出した宿泊税の条例案について異論が相次ぎました。

 これに対して村井知事は、訪日観光客が東京や大阪などのゴールデンルートに集中することへの危機感を強調しました。

 村井知事「東北のゲートウェイとしての役割を担っている我が県が、これまで以上の取り組みを行わなければ他の地域から後れを取ることになり、結果、東北全体を含め交流人口の縮小を招くことにつながってしまう恐れがある」

 自由民主党・県民会議の県議から「結論ありきで説明したことが間違いの始まりでは」と指摘されると、反省の弁とも取れる発言をする場面もありました。

 村井知事「(観光振興策を)どうすれば良いでしょうかということから、議論をスタートした方が確かに話は分かりやすかったかなと」

 県議会は、27日から一般質問が始まります。

 宮城県は宿泊税の導入について、2020年に県議会に条例案を提出し導入を検討していました。しかし、当時は新型コロナの影響が拡大していて宿泊業への更なる打撃になりかねないといった反発が事業者などから相次ぎ、県が条例案を取り下げて議論は中断していました。

 宿泊税の導入について、村井知事は次のように述べています。

 村井知事「宮城の観光の将来のためには持続的、安定的な観光振興財源が必要である。今後、ますます社会保障費が上がっていって、観光等に振り分けられる財源が限られてきますので、観光に特化して必ず使える財源をしっかり確保することが非常に重要であると思います」

 宿泊事業者を中心に反対の意見があります。「消費税や入湯税に加えて宿泊税も徴収することで利用者が減りかねない」「客が払った宿泊税を県に収める手続きが負担になる」といった声などが上がっています。

 大崎市議会が鳴子温泉の湯治客の負担が大きいなどとして、拙速に導入しないよう求める意見書を全会一致で可決したほか、栗原市、蔵王町、七ヶ浜町の議会も宿泊税の導入に反対や再検討を求めています。

 県議会でも複数の会派が方針の撤回を求めていて、導入の是非や税の使い道などをめぐり激しい論戦が交わされるとみられます。