衆院選が15日に公示されました。若い世代の投票率が1%下がると、その世代は年間で1人当たり5万5000円も損をすると東北大学の教授が試算しています。

 中津川夏帆記者「若者は選挙についてどのように考えているのでしょうか」
 「(衆院選が行われることを)知らなかったです。選挙のイメージは、大人が頑張っているなと思います、。(投票用紙に)紙で書かないといけないのが面倒」「興味無いですね。1票で変わるのかなと思っちゃう」「政治や議員のことを知っているかと言われるとそうでもないので、その時いざ誰かに決めるとなるとあんまり分からない中で誰にしたら良いのだろうと思う」

 衆院選の投票率は、全体でも下落傾向にありますが、特に低いのが若者世代です。前回は宮城県の小選挙区全体の投票率が55%ほどに対し、10代は10ポイント以上低い約44%で、20代は更に低い30%台となっています。

 東北大学の吉田浩教授は若い世代の投票率が下がれば、その分その世代が損をすると具体的な数値を試算しました。吉田教授は50歳以上を高齢世代、49歳以下を若い世代と分け過去28回の国政選挙の投票率の変化を分析しました。
 東北大学大学院経済学研究科吉田浩教授「高齢世代も若い世代も下がっているのですが、よく見ると幅がだんだん広がってきて若い人が非常に低い投票率になっている」

 吉田教授によりますと、高齢世代と若い世代の投票率の差が拡大するにつれて国債の発行額も増加傾向にあることが分かりました。
 国債は国の借金なので、若い世代が将来大きな負担を強いられる可能性があります。
 東北大学大学院経済学研究科吉田浩教授「増税をすると今の高齢者も含めてみんなにマイナスになる。そうすると選挙で反対票が出る。しかし借金(国債)だと今の高齢者は払わなくていい。将来の若者が働いて返すことになる。だけど若者の投票率が低いので、お得意様の高齢者の方を重視して増税をするよりも、借金(国債)でしのごうと考える」

 詳しく分析すると、若い世代の投票率が1%下がるにつれて国債発行額が年間で1人当たり約3万4000円増えているということです。
 吉田教授は、世代別の投票率の差が年金や老人福祉などの高齢者向けの社会保障と、児童手当や育児休業などの若い世代向けの社会保障への支出にどう影響を及ぼすか分析しました。

 その結果、若い世代の投票率が1%下がるにつれて、高齢者向けに比べ若い世代向けの社会保障の支出額が約2万1000円減ることが分かったと言います。
 東北大学大学院経済学研究科吉田浩教授「若年者に1万円を払ったとしても投票に来てくれないので、票として政府への支持に反映されないということになる。そうすると、選挙で勝ち続けるためにはどのお得意様を大事にしたらいいかということになって、高齢者の方が重視されてしまう」

 2つの分析結果から吉田教授は、若い世代の投票率が1%下がるとその世代の人たちは1人当たり年間で約5万5000円損をすると試算しました。
 吉田教授は、試算結果を講義で学生たちにも伝えています。
 東北大学大学院経済学研究科吉田浩教授「投票しに来ないのに給付金を与えるなんて言っても意味が無いですから、政府は若者に冷たくなる?」

 講義を聞いた学生たちは。
 「元々選挙には投票していたのですが、なおさら投票しないといけないと感じました。1%で5万円(損をする)というのは大きいと思ったので、(投票への)モチベーションはだいぶ上がりました」「もちろん投票に行くことは絶対として、それぞれの候補者の理念や公約を改めて見つめ直して自分の信条に合った候補者を選びたい」

 吉田教授は、試算の発表が若者に投票に行くきっかけになってほしいと考えています。
 東北大学大学院経済学研究科吉田浩教授「皆さんが漫然と選挙には行った方が良いと思っていても、何となく取り組めていないことをしっかり価値を見据えていただいて、若い人に特に選挙の投票所に足を運んでいただきたい」