ハクチョウにカメラとGPSを取り付けた生態調査が国内有数の渡り鳥の越冬地、宮城県の伊豆沼で行われています。調査開始から間もなく1年となり、これまで分からなかった貴重な繁殖地の様子が捉えられました。

 この取り組みは、宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団と中国の送信機メーカーなどによる国際共同プロジェクトで、その名はスワンプロジェクトです。

 オオハクチョウとコハクチョウ計20羽に小型カメラとGPSを装着して渡りのルートと生態を追跡するとともに、画像や位置情報を公開して市民が参加してのハクチョウの見守り態勢を構築することが狙いです。

 1日に4回、カメラの画像をほぼリアルタイムに確認することができる国内初の試みです。

 調査開始から間もなく1年となり、たくさんの貴重な画像を届けてくれました。

 若いコハクチョウに取り付けたカメラが、8月に繁殖地のツンドラで撮影した画像です。

 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団嶋田哲郎研究室長「繁殖するつがいは縄張りを作って繁殖しますが、繁殖に参加しない若い個体は仲間同士で夏を過ごします。そういったことは、文献、図鑑に書いてあるが画像からちゃんと分かることが大変驚きました」

 ロシア極東部にあるオオハクチョウの繁殖地、タイガ=針葉樹林帯が映っている貴重な画像です。

 これまでは、繁殖地の環境がどういう様子なのか分かっていませんでした。

 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団嶋田哲郎研究室長「学術的にもオオハクチョウの繁殖地はタイガという所で林の環境だと分かっていたと思うが、具体的に繁殖地としてこういう所だと分かった例は無いと思うのですね、そういう意味で貴重な画像だと思います」

 このほか、白夜の様子やハクチョウ目線ならではの画像も捉えています。

 スワンプロジェクトでは、ハクチョウの画像や位置情報をアプリで確認することができ、Xで目撃情報を共有する取り組みも進めています。

 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団嶋田哲郎研究室長「色々なデータを取って集めて1つの物を作り上げていく、そういった市民科学に貢献したいと思ってますし、そういったものを通じて、鳥への関心というのが一般市民に広がっていくと良いなと思ってます」