1億2000万円を不正に支出した疑いで逮捕された東京女子医大の元理事長の女。一体どんな人物なのか、関係者が取材に応じました。

■東京女子医大 背任の疑い

 背任の疑いで警視庁に逮捕された岩本絹子容疑者(78)。顔を隠すように両手で口元を覆っていました。

東京女子医大の公式YouTubeチャンネルから 「東京女子医大理事長の岩本でございます。本日は本学の今までの成果をご覧いただき、ご意見を頂戴できれば大変うれしく思います」

 去年8月まで東京女子医大の理事長を務めていた岩本容疑者。逮捕前、こう話しています。

岩本絹子容疑者 「警視庁で何か言ってきたとしても全く…嘘も100回言うと本当になるみたいな、皆さん方はそう言っていますけど、それで私は逮捕されなかったらあなた方を告訴しますよ。それでいいんですか。名誉毀損(きそん)だと思っている。逮捕状出ているかって話ですよ。いかがですか?」

 岩本容疑者は大学の理事長だった2018年から2020年にかけて、新宿区に建設予定だった大学の新校舎を巡って実際にはアドバイザー業務を行っていない建築士の男性に報酬としておよそ1億2000万円を支払い、大学側に損害を与えた疑いが持たれています。

 警視庁によると、不正に支出した資金の一部は岩本容疑者が私的に使った疑いもあるということです。

 逮捕の一報を受け、大学病院の現役の医師は…。

勤務医(40代) 「やっと、やっと…そういう感じですかね。色々騒がれていて(理事長を)辞めてくれただけで僕らとしてはありがたかった。こういう結果になったのは当然かなとは思います」

■元理事長の女(78)人物像は?

 創立125年、国内有数の私立医大「東京女子医科大学」。岩本容疑者は開業医を経て2019年、そのトップである理事長に就任。警視庁では絶大な権限を持っていたとみています。

 理事長当時の岩本容疑者について、関係者は…。

岩本容疑者を知る関係者 「熱しやすいというか、情報が入ると確認しないで暴走してしまう、突っ走ってしまうようなところはあります。お気に入りを側近にしているので、反対意見を言わない人を重宝して側近に置いている。側近は側近で気を使って、(岩本容疑者を)怒らせないようなことしかお耳に入れないところがありますね。岩本先生の側近に盾突いただけで、もう全部役職を落とされたりとか、理事長、岩本先生にはもう意見できない雰囲気ですね」

 東京女子医大を巡ってはおととしの3月、一部の卒業生らに背任の疑いがあるとして刑事告発された岩本容疑者はこの直後、大学の同窓会組織「至誠会」の会議で身の潔白を主張していました。

岩本絹子容疑者 「私は決してですね、至誠会とか女子医大を裏切るようなことは一切しておりませんので、少なくとも大学と至誠会に対してですね、何か損害を与えるとかいうようなことは100%、200%あり得ません」

 去年3月、警視庁は勤務実態のない職員に給与が支払われていたとする特別背任の疑いで大学や岩本容疑者の自宅など複数の関係先の強制捜査に着手。

 その後、設置された大学の第三者委員会は理事長に権限が集中していたと指摘。

東京女子医大が設置した第三者委員会 竹内朗副委員長 「岩本氏は全権を一手に掌握して『岩本一強体制』を構築していったと。岩本氏の金銭に対する強い執着心がみてとれると」

 これを受け、大学は去年8月、岩本容疑者をすべての役職から解任していました。

 それからおよそ5カ月。強制捜査で押収した資料や関係者から事情聴取するなどして今月13日の逮捕となりました。

 東京女子医大は午後、会見を開いて謝罪。元理事長の「専横的な意思決定にガバナンスを発動できなかった」と話しました。

東京女子医大 清水治理事長 「(Q.岩本容疑者の暴走とはいえ、女子医大の手続きは合議制です。その当時の責任については処分を行わないのか?)新たな事実とかそういうことがあれば、それはその時の検討ということになるかと思います」

 警視庁は他にも不透明な資金の流れがあるとみて、引き続き捜査する方針です。