三菱UFJ銀行の元行員が新たな供述です。「翌月に異動かなと思い、現金を戻すために金塊を売った」。貸金庫から盗み出す手口も明らかになってきました。

■「他支店への異動かなと」

 犯行がばれないよう「焦り」があったのでしょうか。

 4年でおよそ17億円、貸金庫で盗みを繰り返していた疑いがある今村由香理容疑者(46)。

今村由香理容疑者 「他支店への異動かなと思い、貸金庫から盗んでいた現金を全部戻さないといけないと思った。金塊を使えば大きな現金が作れると思った。急いでやった」

 今村容疑者は去年9月までは練馬支店の支店長代理でしたが、翌10月に玉川支店に異動しています。

 今回逮捕容疑となった事件は、その異動前に起きています。

 今村容疑者は去年9月下旬、1人の男性の貸金庫から金塊5本。もう1人の貸金庫からは金塊15本。合わせて20本、時価総額2億6000万円相当を盗んだとして逮捕されました。

 捜査関係者によると、この2人の金塊は以前ランダムに貸金庫を開けた時に見つけていたといいます。

 その金塊を質店に持ち込み、1億7000万円の融資を受けたとみられる今村容疑者。金塊をとったのはこの時が初めてと話しているといいます。

■どうやって盗んだ?女が手口の詳細を語る

 現金を盗んだ貸金庫に金塊で補填。手口の詳細が明らかに。

 捜査関係者によると、貸金庫から金塊を持ち出すと箱に入れて布で隠すなどして持ち出し…一時的にデスクの鍵の掛かるキャビネットなどに金塊を保管。

 盗んだ後、すぐに質店に持ち込むこともあったという今村容疑者。

 融資された現金は、かばんに入れて銀行に持っていき、盗んだ貸金庫に補填していたとみられています。

練馬支店の貸金庫を利用していた人 「家に置いておくと危ない土地の権利書とか」

 練馬支店で、貸金庫を長年利用していた人は…。

練馬支店の貸金庫を利用していた人 「(Q.セキュリティーはしっかりしていた?)しっかりしていた。入る時はちゃんと見ている。ずっと外で待っているし」 「(Q.貸金庫に付き添う人は?)女の人がいたかもしれない。女の人だったような気がする」 「(Q.その女性が逮捕された人?)全然覚えていない。びっくりしますよね。そんなことがあるんだなって」

■逮捕の決め手“800枚の写真”

 金庫内に何が入っているのかの記録のため、スマホで撮影していたという今村容疑者。今村容疑者のスマートフォンの解析などから、禁固の中を写した写真およそ800枚が見つかったということです。

 犯行を隠すために行っていたことが逮捕の決め手となることに…。

 今村容疑者は「色々な人に迷惑を掛けた」とも話しているということです。

 三菱UFJ銀行は16日、社内の処分を発表。半沢頭取ら3人について、報酬の30%を3カ月減額するほか、担当役員らの報酬も一部減額します。

 また、貸金庫の対策も公表。防犯カメラを金庫の部屋の中にも設置するなど再発防止策を講じることにしています。