「音楽で市民を守りたい」、そんな思いが込められた警察による定期演奏会が今年50回目を迎え“ある決意”を胸に大舞台に挑んだ新人隊員に密着しました。

 多彩な楽器が鳴り響くなか懸命に演奏する女性。プロのクラリネット奏者である彼女にはもう一つの顔が…。「特殊詐欺防止」を呼び掛ける、れっきとした警察の一員です。

埼玉県警察音楽隊 原田茉優さん(23) 「演奏をして犯罪被害防止などをお客様に広報するのが一番大切な仕事」

 およそ70年前に発足した埼玉県警察音楽隊。「プロの音楽家集団」として、演奏会などを通じて市民とふれあい、防犯の必要性を訴えてきました。入隊してからまもなく1年。ここで音楽を続ける理由とは。

埼玉県警察音楽隊 原田茉優さん 「高校生の時にバス内で痴漢事件に遭遇したことがあった。取り乱していたが、警察官が『我慢しないでいいんだよ』『そのために私たち警察官がいるんだよ』と。警察官に対して敬意や憧れの気持ちを持つようになった」

 今度は自分が演奏を通じて誰かを助けたい。その決意を胸に、初めての定期演奏会ではソロパートを演奏します。

 そして、演奏会当日。何度も練習したソロパートも見事に吹ききりました。

観客 「素敵だった。改めて(犯罪に)注意しないといけないなと」

埼玉県警察音楽隊 原田茉優さん 「音楽だけで事故や事件を無くすことはできないが、安心を届けることはできるんじゃないかと思っているので、架け橋の役割を音楽を通じてできるように」