農林水産省に農家やコメの流通業者らが集まり、意見交換会が開かれました。この秋には新米争奪戦が起きかねないと、早くも危機感があふれていました。

■「2025年産も競争激化」

 コメ問題を巡る会には紛糾しました。

むらせ 米穀本部特販部 藤本佳担当部長 「価格が適正ではないという意見が数多くあった」

 26日午後に終わった農水省の意見交換会。今年の新米はどうなるのか。生産者や集荷業者、卸売業者らが出席し、激論が交わされました。生産者からコメを買い取る集荷業者は…。

集荷業者 「2025年は見通しは不透明。現在の高値の状況が続けば集荷が苦戦する。2年続けて同じような状況にしたくない」

 去年はコメの生産量が増えたのにもかかわらず、集荷業者に集まった新米は前の年より21万トン減りました。

 卸売業者は「新米の争奪戦はより激化する」とみています。

卸売業者 「2024年産は在庫不足感があり、いまだに現場は混乱している。産地には一時の高値より安定を求める声もある。必要とされる数量の確保ができないのであれば、備蓄米の力を借りないと来年も厳しくなる」

 さらに、高騰するコメの価格を巡って会議は紛糾しました。全国のスーパーで販売されるコメの平均価格は現在、3892円。1年前のほぼ2倍の値段です。

 出席者はコメの生産量を増やしてほしいと訴えます。

出席者 「産地と会話をした時に品薄感を感じた。ほとんどが小さいロットしかない、つまりないに等しい。そこを解消しないと。2年連続でコメを不足させるわけにはいかない。企業経営に大きな影響がある、そこを考慮いただきたい」

 また、備蓄米21万トンの市場放出については…。

参加者 「放出分すべてが買われるかどうか分からない。調達と販売のめどは立たない状況」

 出席者の一人、新潟県三条市の生産者・山嵜さんは…。

新潟でコメ農家を営む山嵜哲志さん 「生産現場の声を伝えられたかというのは疑問」

 安定しないコメの価格に生産者が悲痛な声を上げました。

■品種転換も?変化迫られる農家

むらせ 卸売業 藤本佳特販部担当部長 「米の用途を『主食米に切り替えたい』と話があったが、生産者側からは『面積の拡大ができるほど余力がない』と」

新潟でコメ農家を営む山嵜哲志さん 「自信を持ってやらないといけないが、プロだから。正直、増やしにくい…」

 山嵜さんが生産しているのは「コシヒカリ」と「こしいぶき」です。マガモ農法などを使って有機栽培していて、2021年に東京のコンテストで最高金賞を受賞したことも。

 コメの高騰で困惑することもあったといいます。

新潟でコメ農家を営む山嵜哲志さん 「正直、こんなに(コメの)値段が上がると思っていなかった。本当に急に高い値段を提示されて『譲っていただけませんか?』、その時の対応の方がちょっと苦慮した。もし、いっぱい取れて余ったりすれば譲ることはできるけど」

 去年の収穫量は例年より少なかったといいます。

新潟でコメ農家を営む山嵜哲志さん 「コシヒカリはこれからもう少し減らさせてもらおうかなと。安すぎたというのは僕ら側の意見ですけど、コメがある程度の価格だったころに逆にコシヒカリが売れ残っていたのをずっと見ていたので」

 コメが高騰するなか、コストがかかって品質が求められるコシヒカリではなく、より安く作れる業務用米や酒米にシフトしたいといいます。

 26日の意見交換会では、主食米の作付けを増やすという意見がでましたが、生産者としては…。

新潟でコメ農家を営む山嵜哲志さん 「人の問題かなと思う。作業者などが足りてない。あくまでも皆さんに供給できる量をしっかり作っていかなければと思った」