年収の壁を巡る見直しは与党が提案した「160万円」で決着しました。これにより、私たちの手取りはどれぐらい増えるのでしょうか。専門家が解説します。

■玉木氏 代表復帰も「力不足」

 自らの不倫問題で役職停止3カ月の処分を受けていた国民民主党の玉木雄一郎氏が4日から代表に復帰。

国民民主党 玉木代表 「極秘離婚というような報道も目にしましたけれども、夫婦の信頼関係は揺らいでおりませんし、これからも家族を大切に取り組んでいきたいと思っております」

 その玉木代表が役職停止中に「年収103万円の壁」見直しを巡る与党側との協議はいったん終了。

 与党修正案を盛り込んだ新年度予算案は自民、公明の与党に加え日本維新の会などの賛成多数で可決。参議院に送られました。

玉木代表 「力不足ですね。忸怩(じくじ)たる思いのところもありますが多くの学生の皆さんからお声をいただいた特定扶養控除。今年から2025年から150万円まで働けるようになりますから、これはまず大きな成果ですね」

■「壁」決着 手取りいくら増える?

 年末に年収103万円の壁を123万円に引き上げることを決めた与党。さらに、年収850万円以下の給与所得者を対象にした減税措置が行われる見通しとなりました。

 気になるのが減税額、つまり手取りはどのくらい増えるのかです。

 第一生命研究所の試算によると、減税額は年収200万円で2万4000円。年収300万円から600万円で2万円。年収800万円で3万1000円。年収1000万円で2万円となり、おおよそ2万円から3万円程度となりそうです。

 ちなみに、非課税枠を178万円に引き上げる国民民主党案と比較すると、減税される額は少ない一方、所得制限を設けたことで格差はなくなり、減税額が均一化されています。

 今回の所得減税の総額は1.2兆円規模。第一生命経済研究所主席エコノミストの星野卓也さんは、非課税が103万円となった1995年と比べると物価が10%程度上がっていることを踏まえると減税額は少ないと指摘します。

第一生命経済研究所 主席エコノミスト 星野卓也さん 「控除の額がインフレしていくなかでそのままだと実質的な増税になってきてしまっているよねと。控除の額をインフレに合わせて上げていくというのは普通にやっていくべき話なのかなと思います。こちらで試算してみた数字ではあるんですけれども(普通に)インフレ調整をやった場合は、2兆円ちょっとぐらいの減税額にはなってくる。必要な減税額からそのくらいになってくると考えています。今回の与党案ですと一時的な減税も含めて1兆円台前半ということなので、もう少し減税額自体は拡大してもよかったんじゃないかなと思っています」

 今回は合意に至らなかった与党と国民民主党ですが、石破総理は年収の壁の議論は今後も続く考えを示しました。

石破総理大臣 「178万を目指すということについても私どもとして考えが変わったわけでもございませんし、やはりどこかできちんと決めなければいけないことだと」