吉本興業の芸人と市民が仙台市で立ち上げた新たな劇団が、2月に旗揚げ公演を行いました。上演したのは、商売繁盛のシンボル仙台四郎の物語です。劇団員が、公演の成功に向けて奮闘しました。
2月15日、吉本興業の芸人と市民でつくる仙台市よしもとふるさと劇団の旗揚げ公演が行われました。商売繁盛のシンボルとして仙台市民に親しまれている仙台四郎を座長の千原せいじさんが演じ、仙台四郎と商店街の人々が音楽祭を成功させようと奮闘する物語です。
よしもとふるさと劇団は、芸人と一般市民が協力して地域活性化を目指す取り組みとして2012年から各地で設立されていて、今回は仙台市が最大300万円を負担する助成制度を活用しています。
公演の4カ月前に仙台市各地で行われたオーディションには、200人を超える応募がありました。芸人を志す人、定年を機に新しい事を始めたい人など個性豊かな人たちが熱い思いを審査員にぶつけました。
オーディションでは、台詞の発し方や動きなど舞台の基礎が詰まった吉本新喜劇の定番の場面が審査課題として出されました。舞台に立てるのは、ごくわずかです。
千原せいじさん「そんだけ出たいとオーディションを受けてくれる方がおられるということは、恐らくですけど見たいと思ってはる人もたくさんおられるということやと思うんで、すごい楽しみです」
厳しいオーディションを勝ち抜いたのは、6歳から85歳の47人です。この日は、役の割り振りを検討しました。
脚本・演出の2丁拳銃小堀裕之さん「色々な世代をまとめて家族のような人と人のつながり、そこに人が集まってくる温かさみたいなことが伝わったら」
物語の舞台、笹かまぼこ店の店員という大きな役を射止めたのは、宮城県角田市在住で塾講師の山田倫寛さん(24)です。
2丁拳銃小堀裕之さん「元気やしめっちゃ質問もしてくるし、本当は芸人にやってもらおうと思ったんですけど、山田さんでええわと思って」
配役が決まってからの稽古は、わずか4日。芸人から笑いを生むための身振りや台詞の言い回しのアドバイスを受け、身体に叩き込んでいきます。山田さんは北風が吹きつける中、個人練習にも励みました。
山田倫寛さん「今回大きな役割を与えていただけたのは本当にうれしいですし、何としても成功を収めたい」
本番の前日。千原せいじさんなど吉本の芸人が合流し、初めて出演者全員がそろいました。600席近くのチケットは完売しました。果たして舞台本番に間に合うのでしょうか。
初めて間近に見る新喜劇の舞台セットに、出演者たちは目を輝かせます。
刑事役金圭一さん「いやー感動ですね。この新喜劇のセットでできるっていうのは。一番我々にとってはうれしいこと」
舞台上でのリハーサルは1回のみ。開場時刻のギリギリまで最終確認が行われました。市民47人が、仙台四郎のいる商店街をつくり上げました。
山田倫寛さん「吉本新喜劇に出させていただいて本当にうれしかったんですよ。そして芸人さんだけじゃなく、今回一般市民として参加していただいた」
観劇者「面白かったです。素人なのか芸人さんなのか全然区別がつかないぐらい、みんなすごい上手だった」「最高です。次は出たいと思いましたもん。そのぐらい楽しかったです」
千原せいじさん「完全に皆さん仕上がっていたので安心してやれました」