景気の減速への懸念が続く中国が、現在開かれている全人代で成長の柱として打ち出したのが「低空経済」という考え方です。低空経済とは一体、何なのでしょうか。

■中国が注力“低空経済”とは

 中国南部・広東省深セン市にある公園の上空にやってきたドローン。荷物を抱えています。宅配ボックスの上に着陸すると、運んできた荷物を切り離しました。

 深センではドローンによる配送ビジネスが急拡大していて、現在、飲食や宅配などに使う発着場が249カ所あります。来年までに1200カ所になる予定です。

 世界のドローン市場で7割のシェアを誇る中国。政府が後押しし、不動産不況で低迷する経済を「低空経済」で浮上させたいという思惑があります。

 「低空経済」とは、1000メートル以下の空域で展開される経済活動のこと。中国のドローンの市場規模は2035年には75兆円に達する見込みです。

 こちらは「空飛ぶクルマ」。電気により自動で空を飛び、垂直離着陸が可能な新たなモビリティーで中国が技術で世界をリードしています。

 試乗した機体は航続距離が30キロメートルで、市内の移動や観光での利用を想定。実は沖縄でも試験飛行が実施されていて、日本での実用化にも期待されています。

イーハン 賀天星副総裁 「1万人のパイロットを管理するよりも航空機の方が簡単だ。そこで実用化と大規模化を促進する無人運転を採用した」

 こうした技術は雇用を奪うとの懸念もありますが、中国は今後、ドローンの操縦者のみで100万人の雇用を生み出すとしていて、新たな成長経済として注目されています。