ウクライナがアメリカと合意した30日間の停戦受け入れ。これに対してロシアは。プーチン大統領の本音に迫ります。

■米　ウクライナ「30日停戦」合意

　ルビオ国務長官、ウォルツ大統領補佐官らアメリカ側とシビハ外相、イェルマーク大統領府長官らウクライナ側が11日、サウジアラビア西部のジッダで臨んだ協議は8時間以上に及びました。

　そして…。

アメリカ　ルビオ国務長官 「私たちの提案をウクライナ側が受け入れた。それは停戦をし、紛争を終わらせるための交渉を即時に開始するというものだ」

　協議は成功したようです。先月のあの…。

トランプ大統領 「君のしていることはこの国に対して失礼だ」

　メディアの前で首脳同士が口論をするという異例の会談から11日です。

ウクライナ　イェルマーク大統領府長官 「きょう私たちは全世界に対して平和を求めていることを示した。公正で長く続く平和への準備はできている」

　具体的に何が話し合われたのでしょうか。

　両国が出した共同声明によりますと、アメリカが「即時に30日間の一時停戦の実施」を提案し、ウクライナがそれを受け入れたと言います。

　そして首脳会談後、アメリカが停止していた軍事支援と機密情報の共有については…。

アメリカ　ウォルツ大統領補佐官 「この前向きな一歩の結果として、大統領はウクライナへの援助と軍事支援の一時停止を即時に解除することを決定した」

　トランプ大統領も実際、協議の結果に満足しているようです。

アメリカ　トランプ大統領 「とても重要なことだ。ウクライナ停戦、ウクライナ停戦。さっき合意したばかりだ。執務室で起きたこととは大きな違いだ。完全な停戦だ。ウクライナは合意した。ロシアにも合意してもらいたい」

　そして、ウクライナのゼレンスキー大統領を再びホワイトハウスに招くか問われると…。

アメリカ　トランプ大統領 「（Q.ゼレンスキー大統領をまた招待する？）もちろんだ」

　そのゼレンスキー大統領は前回、あんなことがあったからでしょうか。

アメリカ　バンス副大統領 「一度でも『ありがとう』って言ったか？この会談中に『ありがとう』って言ったか？」

　はっきりとトランプ大統領への感謝を口にしました。

ウクライナ　ゼレンスキー大統領 「アメリカ側は私たちの主張を理解し、提案を考慮している。建設的な対話についてトランプ大統領に感謝している」

　もし停戦が実現すれば、2022年の2月にロシアが全面的な侵攻を開始してから初めてのことです。

■“破談から合意”背景に何が？

筑波大学　東野篤子教授 「ウクライナ側の危機認識がもともと非常に高かったのが、さらに高まったということに尽きると思います。2月28日の米ウクライナ首脳会談は、ウクライナ側の想定をはるかに超えて険悪なものになった。約2週間足らずと非常に短い時間だったが、非常に緊密な水面下での協議が続けられて、きのうを迎えた」

　共同声明では、ウクライナ側が強く求めてきた「アメリカによる安全保障」についても「ただちに交渉を開始する」としています。

筑波大学　東野篤子教授 「『いったん停戦をして、その後は知りません』ということではなく、『ウクライナにとっての平和が長く続くように』という配慮をしてくれていることが十分、伝わる文章だと思います」

　東野教授はトランプ政権の変化も指摘します。

筑波大学　東野篤子教授 「トランプ政権としてロシアに大きな理解を示してロシアの意向を最大限にくんだ停戦を考えていて、それによりロシアも攻撃の手を緩めるのではないかと考えていたが、そうはならず、ロシアは一層、攻撃を加速させた。トランプ政権はアメリカの仲介努力を軽んじられたような、そういった不快感をしばしば表していた。トランプ政権側のロシアに対する心象が若干、低下した状態で共同声明がまとめられた」

　問題は、そのロシアです。

ウクライナ国民 「ロシアは停戦しないでしょう。いくつか交渉があったけど、その最中も私たちを撃ってミサイルを飛ばしてきた」 「もうロシアは信用できない。口では約束しても行動が違うから」

　今回の“一時的な停戦”は、あくまでアメリカとウクライナとの間で話し合われたもの。今後、焦点はロシアに移ります。

ウクライナ　ゼレンスキー大統領 「ウクライナは提案を前向きに捉えて受け入れ、進める準備がある。アメリカはロシアを説得する必要がある。ウクライナは平和への準備はできている。ロシアも戦争を終わらせる準備があるのか、まだ続けるのか見せる必要がある」

アメリカ　トランプ大統領 「これからはロシアとの話だ。プーチン大統領も同意することを願う。そうすれば、いよいよ始められる」

　トランプ大統領は近日中にロシアとの協議が実施されることを期待しているとしています。

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