愛媛県今治市で発生した山火事は26日で4日目。鎮火のめどはいまだ立っていません。避難指示の対象範囲も広がっています。

■発生4日目 鎮火めど立たず

 古くから地域に根付いた神社にも火の手は迫っています。発生4日目を迎えた愛媛県今治市での山火事。

 25日、激しい炎を上げていた工場。骨組みだけを残し、痛々しい痕跡だけが残されています。これまでに倉庫も含め、9棟の全焼が確認されています。

 24日、焼失面積は61ヘクタールほどでしたが徐々に火は燃え広がり、25日時点で300ヘクタールに。さらに、417ヘクタールに広がりました。

 地元の人々が手塩に掛けて育てたヤマザクラも燃え尽きようとしています。

 今治市朝倉地区にそびえる笠松山。朝倉地区のシンボルとして親しまれてきました。標高は350メートルほど。初心者でも登れる山として人気もあり、頂上からは今治市街地や遥か、しまなみ海道も見渡せます。

 名所「ガメラ岩」も見えます。現状、延焼している状況を見ると、その笠松山にも火の手が押し寄せていることが分かります。

 地元で造園業を営む越智さん。ひと際心を痛める理由がありました。

造園業 越智将人さん(66) 「毎朝見るんですよ、どうしても。『やっと緑になりかけてきた』と妻と何日か前に話したところなのに、まさかまた火事になるとは全然思っていなくて」

 2008年8月。同じ朝倉地区では約107ヘクタールを焼く山火事が起きていました。

越智将人さん 「肥料をやったりしてきたので、もう大丈夫だなと。今回は本当に残念というか。もう言葉がないです」

 仲間とともに10年ほど時間をかけ、ヤマザクラ約2500本を植えた越智さん。同じころ庭に植えた桜は少しずつ花を咲かせ、山でも5年ほど前から花が咲き始めたばかりでした。おととしの映像では、少しずつ育ってきた桜も見えます。

越智将人さん 「吉野山みたいに桜がいっぱい咲いたらきれいだろうなと思って。きのうのお昼ごろから上から順々に(火が)下がってきて、『あぁ、もう止まってくれ』と思っているのにやっぱり無理でした。もうちょっとしたら下から花が見えだすかなと思っていた。気分的には落ち込んでいます」

 27日昼ごろから愛媛では雨が降り、夜には本降りになる予想です。