新型コロナワクチンの接種について、厚生労働省は5歳から11歳までの子どもも対象に加えることを特例承認しました。

 早ければ3月以降に始まる見通しですが、どのような子どもが接種すべきなのでしょうか。

 日本小児科学会の理事を務める長崎大学大学院の森内浩幸教授に聞きました。

 森内浩幸教授「5歳から11歳であってでも、新型コロナウイルスに感染して重症化のリスクがある、命に関わる子どもたちがいます。そういう子どもたちには少しでも早く、接種ができるようになってほしいと思います。そしてそういう子供たちは、流れ作業みたいに接種を打つことが無理です」

 「そういうリスクのある子どもたちは、体調管理とかをしていきながら、ちょうど体調のいいタイミングを見計らって接種をしないといけないし、翌日熱が出たり体がぐだっとなったりしたときに、ちゃんと管理することのできる準備もしておかないといけない。ですので相当丁寧に対応しないといけない、手間暇のかかるワクチン接種ということになりますので、そういう子どもさんたちには、少しでも早く接種ができるようになって、時間がかかっても、より多くの子どもに接種ができるようになっていくということは大歓迎ということになります」

 オミクロン株が急速に拡大する第6波では、子どもの感染が急増しています。

 3回目接種の前倒しが進む中、健康な子どもへの接種はどのような対応をすべきなのでしょうか。

 森内浩幸教授「仮に、きょうからでも打てますよってなった場合に、どんどん打っていきますかっていうと優先順位がそこに無いと思います。健康な5歳から11歳の子どもが新型コロナにかかって重症化する確率は、非常に低いです」

 「そこでさらに5歳から11歳の健康な子どもたち、非常に手間暇のかかる流れ作業では打っていくことのできない、そういう子どもたちの接種をしていくとなると、どこかを犠牲にしないといけなくなるだろうと思います。それはやっぱり医学的には間違いだと思います」

 「2回のワクチン接種してから、もう7カ月も8カ月も経っていますという高齢者、いろんな基礎疾患を持っている、がんの治療今やってますとかですね、糖尿病があって、メタボでとか、そういういろんな病気を持っている大人たちが、3回目のワクチン接種が終わらない状況というのはこれは非常に危険です」

 「今は、何よりもリスクのある人たちの診療。リスクがある人たちへの3回目のワクチン接種が最優先課題であって、5歳から11歳は、リスクのある子どもたちへの接種が優先ではあっても、健康な子どもたちへの接種は、今この時点で、急ぐべきかと言われると、私はそうではないと思います」

 森内教授は、ワクチン接種が5歳からに拡大されることのメリットとして、発症よりも重症化を防ぐことを挙げています。

 周りのために打つワクチンではなく、本人のために打つワクチンですから、打たなかったことを理由にしていじめや差別が起こることは絶対にあってはならないと話していました。