福島第一原発の処理水の安全性を強調するチラシを国が教育委員会へ連絡せずに全国の学校現場に配布していたことについて、経済産業省の萩生田大臣は「手続き上瑕疵はない」と述べました。

 チラシは経済産業省の資源エネルギー庁と復興庁がそれぞれ作成し、文部科学省の放射線問題の副読本と共に2021年12月ごろ全国の小中学校と高校に配布されました。

 チラシは放射線物質のトリチウムが含まれる処理水が安全だと強調する内容で、各自治体の教育委員会に対し配布についての事前連絡はありませんでした。

 経済産業省の萩生田大臣は22日の記者会見で「処理水の安全性を幅広く発信することは、国としての重要な責務」としたうえで、チラシの配布に「手続き上瑕疵はない」と述べました。

 萩生田経済産業大臣「あくまで副読本は、希望する教育委員会の所属小中高校に配布している。今回のチラシはそれの言うなら補足版のチラシなので、同じように希望しているところに一緒に送付をしたということなので、手続き上別に瑕疵はないと思います」

 このチラシ配布をめぐっては、宮城県議会の野党会派が「処理水の安全性は専門家の間でも見解が分かれ、チラシに記載されている内容は一面的」と指摘し、21日に配布停止を求める要請書を県教育委員会に提出しています。

 そして県内では、チラシの回収を検討したり配布をしないよう学校に指示したりしている自治体もあります。

 七ヶ浜町では、小中学校計3校の約180人に対しチラシが配布されましたが「海洋放出に反対する漁業者もいるなか、配慮に欠けている」などとして学校を通じて回収する方針です。

 また石巻市では、市内52の小中学校と高校にチラシが届き、このうちの12校で児童生徒に配布されました。

 石巻市はチラシが国から送付されてきた経緯が把握できていないことなどから、各学校に対し未配布分のチラシは配布しないよう指示したということです。